2016/08/15

リオ五輪<レポート>#12

■リオ五輪トラック競技4日目 男子オムニアム出場の窪木一茂は初日11位 20160814
14日のトラック競技4日目は、日本の窪木一茂が出場する男子オムニアムの初日3種目が行われた。オムニアムは全6種目を2日間に亘って行いその総合成績を競う混成競技だ。種目は初日にスクラッチ(男子15km・女子10km)、個人追い抜き(男子4km・女子3km)、エリミネーションの3種目。2日目にタイムトライアル(男子1km・女子500m)、フライングラップ、そしてポイントレース(男子40km・女子25km)の3種目の合計6種目をこの順番で行う。参加選手は18人。その成績は、5種目目のフライングラップまでは各種目の順位によって与えられるポイント(1位40Pts. 2位38Pts. 3位36Pts.・・・)の累計で表されるが、最終種目のポイントレースではそれまでのポイントの合計が持ち点として始められ、それにポイントレースでの獲得ポイントが加算されて最終順位を決める方式だ。オムニアムを構成する種目には、パワーが必要な種目、スピード持久力が必要な種目、そしてそれらに加えて確かな戦術眼が必要な種目と様々で、これに勝つためには自転車競技能力の全てが高い次元で要求される。陸上の十種競技同様、まさにキング・オブ・アスリートと言えるこのオムニアムに窪木が出場した。最初の種目はスクラッチ。男子は距離15km・トラック60周の着順を競う種目だ。窪木は昨日までの調整段階では調子の良さをアピールしていたが、いざ本番となってはやはりオリンピック初出場の緊張からか、精彩を欠く走りでこの種目12位。続く2種目目の個人追い抜きではさらに歯車がかみ合わず、いつものスピードと粘りを欠いてタイムは4分39秒889。自己ベストよりも10秒以上遅いタイムで18人中最下位の18位と苦しい出足となってしまった。窪木は2種目終わった段階で総合成績は17位。最終的に一桁台の順位を目標とする窪木としてはもう大きな着はとれない。そんな切羽詰まった窪木の心中を察して、ピットで飯島コーチが笑顔を作って話しかけた。「これでリラックスできただろう。もう開き直って、エリミネーションだけに出場していると思って楽しんでこい」。その言葉に窪木は自分を取り戻した。そして始まった3種目目のエリミネーション。2周毎のスプリント周回で、最後にフィニッシュラインを通過した選手がレースから除外されていくというサバイバルゲームだ。厳しい位置取り合戦が続く前半、窪木は冷静にレースの流れを見極めて除外の危機を逃れる。中盤に入っても窪木は巧みなポジション取りで安全圏に身を置き生き残る。やがて残り10人となり、5人となり、そして4人となったところで対応が後手に回ってしまいそこでアウト。しかしこの種目4位という好成績を挙げ、ここまでの遅れを大きく挽回した。窪木の成績は初日を終わって暫定11位。最終順位一桁台を目指すにはまだまだ予断を許さないが、初めてのオリンピックの初日を好結果で終わらせられたことは、明日へ向けての好材料であることは間違いない。

窪木一茂
2種目目までは苦しい戦いだったのですが、3種目目のエリミネーションで手応えを掴めたので、初日の終わり方としては良かったと思います。今日は気持ち的に緊張はないなと思っていたのですが、やはりレースが始まると、体が熱くなって、いつも通りの体ではないなと感じました。最初のスクラッチはペースも速く感じました。みんな仕上がってるなと思いました。2種目目の個人追い抜きもふがいない結果で落ち込んだのですが、ピットに戻って飯島コーチが「次は開き直って、エリミネーションだけに参加していると思って楽しく走れ」と声をかけてくれて気持ちが楽になりました。明日は最初の1kmタイムトライアルと次のフライングラップで自己ベストが出せるかどうかがカギだと思います。そして得意のポイントレースにつなげて8位入賞を目指したいです。

その他この日は、男子スプリントの決勝・3位決定戦と、女子スプリントの予選・1/16決勝が行われた。
男子スプリント決勝は、イギリスのディフェンディングチャンピオン、ケニーと、同じくイギリスの若手成長株スキナーの対戦。レースは1回目2回目共に実力上位のケニーが格の違いを見せつけるかのような走りで圧勝。2大会連続の金メダルに輝いた、イギリスはここまで6種目終わった段階で4個の金メダルを獲得した。(伴 達朗)

<男子スプリント最終成績>
優勝 ケニー    イギリス
2位 スキナー   イギリス
3位 ドミトリエフ ロシア