2008/09/11

北京パラリンピック第3日目レポート

トラック3日目は、初日と逆に藤田征樹(LC3)が3キロ個人追い抜き、石井雅史(CP4)が1キロTTに出場。
石井雅史は、目標としてきたこの種目での金メダルを獲得した。
金メダルを確実にすることに主眼を置いたのか、スタートも慎重だった様子。何よりも金メダルを確証する走りに徹したようで、安定した走りは最後まで崩れなかった。UCI非公認の自己ベストには及ばないが、2位以下を引き離す走りでの金メダル。
ゴール後、手を上げて大歓声にこたえる。場内はこの日も超満員。バックスタンド前で班目監督とがっちり握手し、アンカーバイクから降りると、バックスタンドの大観衆に向かって深々と一礼。さらに大きな拍手歓声が石井に送られた。
表彰式では、日の丸が中央に上がり、君が代が場内に流れた。本当に感激のひと時だ。
これが今大会日本選手団全体にとって初の金メダル。日本選手団全体から石井への祝福.感謝の声が上がった。自転車にかかわるものとして、本当にうれしかったし、誇らしかった。
午前の個人追い抜き予選に出場した両足義足の藤田は、前半から快調に飛ばす。最後の1キロも1分18秒台でまとめ、予選タイムは3分52秒253。このカ テゴリーの世界新記録だ。しかし、この記録は次の組出走のSimon Richardson(イギリス)によってすぐに破られてしまった。 Richardsonのタイムは 3分48秒178。
午後の決勝ではこの2名の対戦となり、藤田は前半飛ばしてリードを奪うが、後半上げてきたRichardsonにかなわず、再び銀メダルであった。
トライアスロン経験者で、それを生かして昨年からパラサイクリングで活躍。トラックで2つの銀を獲得した藤田の今後がさらに楽しみだ。ロードでももちろん期待される。
オリンピックでもそうであったように、パラリンピックでもイギリス勢の活躍はすさまじい。Richardsonは昨年の世界選手権では全く目立たない存在 であったが、その後徹底したトレーニング.サポート体制があったのだろう、信じられないような伸びだ。イギリスは、健常者エリート(オリンピックチーム) と障害者パラサイクリングのナショナルチームが結びつきが強いようで、すばらしい支援体制がある様子。それが驚異的な記録と活躍につながっているのは間違 いない。ちなみに、片足義足のカテゴリー1キロTTもイギリスの選手が金メダルだったが、タイムは1分5秒台!オリンピックに出れるのでは、と思った。
日本はここまで4つのメダル(金1、銀3)を獲得。これまでで最高の成績だ。レベルが驚異的にあがっているここ数年だが、日本選手のタイムも内容も良い。 イギリスにはとても及ばないが、チーム編成.戦略などがうまくあたっているように感じられる。まだ競技は続くので、油断したり慢心することなく地道に邁進 したい。