2016/10/19

2016世界選手権ロードレース<男子エリート>レポート

スタート前の別府と新城例年より2週間遅く中東・西アジアの国、カタールで開催された今年の世界選手権ロードレース。今回各カテゴリーに採用されたドーハ近郊の開発地域に特設された周回コースだけではなく、前半に大規模な外周コースを走るエリートクラスは、毎年開催されているツアー・オブ・カタールと同様、平坦な砂漠に吹く風が最もレース展開に影響力を持ち、集団で温存できる他のカテゴリーとは全くレースの性質が異なり、レースの勘、爆発的なスピードと集団走行での攻撃技術が必要である。主要各国は例年の代表メンバーとは違い6~9名の出場枠に合わせ平坦のスピードパワー系の選手とエーススプリンターを選出し参加、日本チームは与えられた3名枠に対し、レースの特殊性を考慮しつつ論議を重ねた上、適応し得る新城と別府の2名のみを選出しレースに臨んだ。
レースは序盤スローペースの中、主要国外の7名が飛び出し、僅か40㎞地点では10分以上先行する状況となる。しかし風向きが変わる72㎞地点で集団は一気に加速しいくつものグループに分断される。先頭グループはイギリス、ベルギー、オランダを主体に25名前後に絞られ時速60㎞/h前後の高速で周回コースへと進む中、新城と別府は数十秒遅れの間隔で追いかける第2グループに位置。約150㎞を走り周回コースへ入る頃には、丁度逃げグループを吸収し30名ほどになった先頭グループと新城が残る後続グループの差は1分以上になり、別府は第2グループの分断により約2分遅れの第3グループに後退。周回コースでは5名を乗せたベルギーを中心に、有力選手とその牽引役を多数有する先頭グループがペースをコントロールし第2グループの追い上げを完全に封じ込め、優勝争いは先頭グループでのスプリント勝負となりスロバキアのサガンが先着し2年連続の世界チャンピオンとなった。新城は第2グループで35位、別府は大きな第3集団に位置していたが審判判断でラスト30㎞を残しグループごとレースから除外され途中棄権となった。197人が出走した丘ひとつ無い平坦レースながら完走は僅か53人という厳しいレースで、特に中盤の殺し合いのような展開の中、日本を代表し9名体勢の主力国らの隙間をこじ開け前方で展開し奮闘した新城と別府であったが、同じく少数体勢で参加し、先頭グループに残り優勝したスロバキアのサガンのようには行かなかった。来年の世界選手権は北欧のノルウェーで開催される。厳しい山岳コースではないが、短い登り坂でのパワーと反復持久力、そして雨や気温の低下など、急激な気象状況の変化に対応できる準備が必要となる。(浅田 顕)

2016世界選手権ロードレース 男子エリート
日時:2016年10月16日
場所:カタール・ドーハ
距離:257.3㎞
レース結果:
1 Peter SAGAN (スロバキア)5h40m43s
2 Mark CAVEDISH(イギリス)+0s
3 Tom BOONEN(ベルギー)+0s
…35 新城幸也+5m26s、別府史之は途中棄権