2011/12/20

クレンブテロールの食物汚染に起因するドーピング問題についての注意喚起

《クレンブテロールの食物汚染に起因するドーピング問題についての注意喚起》
2011年11月20日にカナダ、モントリオールで開催された世界ドーピング防止機構(World Anti-Doping Agency:WADA)理事会において、WADA禁止表国際基準で禁止物質として指定されているクレンブテロールが食肉の肥育目的で使用され、このクレンブテロールに汚染された食肉を摂取したことが原因とされる陽性事例が報告されました。
WADAのニュースリリースによれば、クレンブテロールによる陽性事例は、中国とメキシコにおいて発生しており、これらの国で競技会に参加する場合には、「競技会主催団体または国際競技連盟が指定するレストランで食事を摂ること」また、「指定のレストラン以外で食事をする場合には必ず多人数で一緒に食事をすること」を呼びかけているので注意してください。

[JCFアンチドーピング委員会より補足情報]
クレンブテロールは、ヒトでは主に気管支喘息の治療薬として使われていますが、一方で、この薬は骨格筋にも作用し、筋肉増強をもたらすことが知られています。そのことから、食用家畜の肉質の向上を目的に飼料に混ぜて与えられています。日本では食品安全委員会における評価を基に、ヒトが毎日一生涯にわたって食べ続けても健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取量が決まっています。海外においても同様の規定がありますが、一部の国においては、その基準を超えて使用している場合があり、結果的にその食肉を食した場合に健康被害が起きた、あるいはスポーツ選手ではドーピング・コントロール(検査)に陽性を示した事例が報告されています。
今回、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から、該当するメキシコならびに中国においては、食事をする際にその国で推奨されたレストラン等以外での飲食を避けるようにという内容です。参考までに、クレンブテロールの大量摂取による中毒症状は、頻脈、振戦、動悸、頭痛、めまい、神経過敏、嘔吐、低カリウム血症及び白血球増加症などです。また、クレンブテロールは熱に安定であるため、加熱調理による防御は難しいとされています。


公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構 (JADA) : http://www.playtruejapan.org/