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2015/01/21

アンチ・ドーピング諸規則に関する改訂点のお知らせ「2015年版」


 
2015年1月1日から施行となる規則の概要をお知らせします。

【アンチ・ドーピング諸規則に関する改訂点(要約)】

1.2015年禁止表国際基準の改訂点
<常に禁止される物質と方法(競技会(時)および競技会外)>
S1. 蛋白同化薬
1. b 外因的に投与した場合の内因性ASS(例示追加)
5β‐アンドロスタン‐3a,17β-ジオールをテストステロン代謝物の例として追加。
2.その他の蛋白同化薬(例示追加)
クレンブテロール、選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARMs、アンダリン、オスタリン等)、チボロン、ゼラノールおよびシルバテロール
   
S2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質及び模倣物質(文言変更、分類拡大、明確化)
1. エリスロポエチン受容体作働薬(ESAs)
1.1赤血球新生刺激物質[ダルベポエチン(dEPO)エリスロポエチン(EPO)、EPO-Fc;EPO模倣ペプチド(EMP)[CNTO 530、ベジネサタイド等]:メトキシポリエチレングリコール‐エポエチエンベータ(CERA)
1.2非赤血球新生EPO受容体作働薬[ARA-290、アシアロEPOおよびカルバミル化EPO等]
2.低酸素誘導因子(HIF)安定薬[コバルトおよびFG-4592等]:およびHIF活性化因子[アルゴン、キセノン等]
3.男性における絨毛性ゴナドトロピン(CG)および黄体形成ホルモン(LH)およびそれらの放出因子[ブセレリン、ゴナドレリン、トリプトレリン等] 
4.コルチコトロピン類およびそれらの放出因子[コルチコレリン等]
5.成長ホルモン(GH)およびその放出因子には以下の物質が含まれる。
  成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)およびその類似物質[CJC-1295、セルモレリン、およびテサモレリン等]:成長ホルモン分泌促進物質(GHS)[グレリン、グレリン模倣物質(アナモレリン、イバモレリン等 ]、成長ホルモン放出ペプチド(GHRPs)[アレキサモレリン、GHRP-6、ヘキサレリン、プラルモレリン(GHRP-2)等
加えて以下の成長因子は禁止される。
  繊維芽細胞成長因子類(FGSs):肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様成長因子‐1(IGF-1)および類似物質、機械的成長因子類(MGFs):血小板由来成長因子(PDGF):血管内皮増殖因子(VEGF):筋、腱あるいは靭帯での蛋白合成/分解、血管新生、エネルギー利用、再生能あるいは筋繊維組成の変換に影響を与えるその他の成長因子。

S4.ホルモン調節薬および代謝調節薬
5.代謝調節薬(分類追加)
5.1 AMP活性化プリテインキナーゼ(AMPK)の活性化薬(AICAR 等)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARδ)作働薬(GW1516等)
5.2 インスリン類
5.3 トリメタジジン(2014年はS6.b興奮薬に分類されていたが、薬理学的に心臓調節作用を有することからS4 に新たに分類された)

S5.利尿薬および隠蔽薬(文言変更 利尿薬が隠蔽薬としてだけでなく、急激な体重減少のような他の目的にも乱用されうることを反映し「その他」を削除した。内容についての変更はない)

<禁止方法>
M2.化学的および物理的操作(文言追加 許可される状況をわかりやすくするため)
2. 静脈内注入および/または6時間あたりで50mlを超える静脈注射は禁止される。  但し、医療機関の受診過程※、外科手術、または臨床的検査において正当に受ける静脈注入は除く。※救急搬送中の処置、外来および入院中の処置をすべて含む。

<競技会(時)に禁止される物質と方法>
S6.興奮薬
・明確にするために、局所/眼科用に使用されるイミダゾール誘導体を、非禁止物質の興奮薬として例示した。
・当初S6にあったフェンメトラジンはフェンブトラゼート(S6.b)からフェントラジンへ代謝されるのでS6.bへ移動。
・フェネチルアミン由来の不法なデザイナー興奮薬の増加していることに対処するために、フェネチルアミン誘導体全体が禁止されていることを明確に記載。
・トリメタジジンはS4.5.3へ移動。

<特定競技において禁止される物質>
P1.アルコール
・空手はリストから削除
P2.ベータ遮断薬
・世界水中連盟(CMAS)を特定種目においてベータ遮断薬の使用を禁止する国際連盟のグループに追加。

2015年監視プログラム
・明確な結論へ導く十分なデータ集積に伴い、プソイドエフェドリン(150μg/ml 未満)の監視は2015年は中止。(150μg/ml以上禁止 S6.b興奮薬)
・テルミサルタンは明らかなPPARδ部分作働薬(S4.5.1で禁止)の性質を持つ非定形アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬であるため、乱用を評価するために監視プログラムに追加した。
・メルドニウムは潜在的な心臓作用を持つ薬物であるため、乱用を評価するために監視プログラムに追加した。

TUEの和訳変更
禁止表に掲載されている物質・方法を治療目的で使用せざるを得ない場合に行う所定の手続き、TUEの和訳が「治療使用特例」に変更された。

2015年世界アンチ・ドーピング規程の改定
変更点の中で競技者、指導者が特に留意すべき点を抜粋

第2条 アンチ・ドーピング規則違反(従来までの8項目~10項目へ拡大。競技者、指導者の責務、役割が明確化された)
第2条4項 居場所情報関連義務
・現行18か月3回→12か月
・居場所情報の更新について、「疑惑」を持たれるケースについては(特に間際の居場所情報変更が連続する等):厳格な制裁対象
・提出時間帯:AM5:00~PM23:00
・アスリートは、いつでも、どこでもドーピングコントロールに応じる義務
第2条5項 ドーピングコントロールの一部に不当な改変を施し、又は不当な改変を企てること:各競技団体の懲戒処分規則の対象として扱わなければならない
・競技者やサポートスタッフによる改ざん、虚偽の情報の提示、故意に妨害、妨害を意図した行為
・改ざんを必ずしも意図してないが、ドーピング検査員に対する攻撃的。侮辱的行為

第10条 制裁措置(厳格化)
資格停止4年が標準化
2年間資格停止
・居場所情報関連義務違反(12か月の間に累積3回)
4年間の資格停止
・禁止物質及び禁止方法の存在、使用若しくは使用の企て、又は、保有に関する規則違反
・検体採取の回避、拒否又は不履行
・ドーピングコントロールの一部に不当な改変を施し、又は不当な改変を企てること(最低4年~生涯追放)
・不正取引、投与の企て

未成年の取り扱い(JADAウェブサイトより引用)
・改訂版2015年世界アンチ・ドーピング規程では、「未成年」を「18歳未満」として規定しています。しかし日本の法律上、「未成年」は「20歳未満」となりますので、競技会に参加し、ドーピング・コントロール(一連のドーピング検査に係ること)の対象となることについて満20歳になるまで、親権者からの「同意書」を得ることにいたしました。

※WADA code(2015年版)の詳細につきましては、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のウェブサイトから確認してください。
日本アンチ・ドーピング機構ホームページ http://www.playtruejapan.org