2010/08/12

ジュニアトラック世界選手権レポート

ヴェロドローム大会第1日目、日本チームは坂本、伊藤、木村のチームスプリント予選から始まった。坂本は先月のインターハイスプリントおよびチームスプリント優勝の実力者。さらに伊藤、木村は日本競輪学校在学中。非常に期待ができるメンバー構成であった。第1走者の坂本が抜群のスタートからスピードが上がらず、伊藤へ。伊藤でやや加速するものの更なる加速ができず、あとは第3走の木村へ、何とか木村は粘るが48.289秒。予選1位はフランスチームで45.908秒のジュニア新記録。第1走者の抜群のスタートから後半への伸びが凄まじく、2走、3走へとその勢いのまま繋ぎきり、決勝でもジュニア世界記録を更新する走りであった(45.608秒)。
世界との力の違いをまざまざと見せ付けられるレースであり、今までの考え方を根本から変えていかなければ、世界と戦う舞台に上がれないことが再確認できた。試合後、選手たちもこの力の違いを感じ、自分たちの走りを即時にビデオで確認し、今後のレースに活用しようとする姿が見られた。少しずつではあるが、このように考えながら走れる選手の育成が急務であろう。
スクラッチに出場した一丸は予選を12位で突破し、決勝へと進んだ。決勝では終始逃げ切りを決めようとする選手が多く、日本の多くのレースのようにゴール勝負だけに備える選手は皆無に近かった。一丸も逃げに乗ろうとするが、なかなか逃げ出せずにいた。ラスト12周でロシア選手が一気に逃げ出し、そのまま集団をラップして優勝。一丸はこのロシア選手を追おうとするが途中でやめ、集団へもどりそのままゴール勝負で14位。レース全体を通して、各国ともに高ギア、高回転であり、多くの戦術を使いこなす。日本選手が高ギアを踏み切れずにいると、単独の逃げや多くの戦術を使いこなせずに戦術の単調さが起こり、外国選手たちとのパワーの差以外でも勝てなくなるだろう。さらに戦術の一つかもしれないが、先頭交代時に一気に後方まで下がるのではなく、先頭から5番目あたりを常に維持する能力がなければ、ゴール勝負には参加できない。今回出場した一丸は昨年末から高ギアでのトレーニングを続けてきているが、それでもまだまだ間に合わない。今回のレースでの反省を活かし、明後日からオムニアムでの大活躍を期待したい。明日はスプリントに坂本、伊藤、木村が出場する。
(トラック担当コーチ 佐藤孝之)

試合後