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2016/06/03

ジュニアネイションズカップ スイス大会<レポート>

stage2-12016 Tour du Pays du Vaud  stage2-1
この日は午前中に20kmの長い登りを含む80kmのロードレースと、午後に12kmの個人タイムトライアルが行なわれた。
午前のロードレースは激しい雨が降り、気温が低い中でスタートした。スタートと同時に狭い道が続き、15kmまでに大きな落車が2回、細かな落車が複数回起きたためニュートラル処置がとられた。車1台しか通れない道幅での複数回の落車のためサポートカーも渋滞で前に上がれず、大落車の500mほど先でパンクしていた日野のホイールを交換するにも5分ほどかかり、今回のニュートラル処置には助けられた。
再スタート後は集団も登り口までは落ち着いてこなし、登り口から攻撃がかかる。日野は小野にサポートされて登り口を10番手ほどで入り、個人総合リーダーを含むメイングループで走る。登りに非常に強さを見せる尾形は集団後方から登りに入ったため、すぐにバラバラとなった集団に追いつくのに脚を使ってしまい、前半でメイングループから遅れて登る。集団は人数を減らしながら霧のかかった登りを進み、頂上手前で日野が遅れる。まだメイングループに追いつく距離であり同じ位置にいた選手も前に次々に合流していくが、風の抵抗を強く受けるレインジャケットを着ていた日野は下りで遅れを挽回できず一人取り残されていく。レインジャケットを脱ぐように伝えるが時すでに遅く、メイングループに戻れなかった。
レースは登りで攻撃をかけ続けるカザフスタンが5名の先頭集団に2名入り有利に進める。最後は3名に絞られた先頭グループはメイン集団に3分弱の差をつけて逃げ切り、カザフスタンのULYSBAYEV Dinmukhammedがステージ優勝した。ステージ2位に入ったスイスチームのエースHIRSCHI Marcが個人総合でトップに躍り出た。

Stage2-1 レース結果
1ULYSBAYEV Dinmukhammed(カザフスタン)1時間56分50秒
2HIRSCHI Marc(スイス)同タイム
3GALL Felix(オーストリア)3秒差
46日野竜嘉8分6秒差
66尾形尚彦 9分17秒差
74小野寛斗9分31秒差
DNF渡邉歩

stage2-2尾形Stage2-2
午後のタイムトライアルは午前の大雨、寒さが嘘のように晴れ上がり、気温も高くなった。コースは折り返しの平坦基調のコースを11kmほど走った後、ラストは15%以上の勾配のある登りとなっており、ペース配分と力勝負のコース設定であった。優勝は今大会最有力候補であったがマークが厳しく抜け出せないMCNULTY Brandonがアベレージ49.1km/hの快走で優勝した。

Stage2-2レース結果
1 MCNULTY Brandon (アメリカ)
2 HIRSCHI Marc(スイス)2秒差
3 BISSEGGER Stefan(スイス)3秒差
80 小野寛斗1分57秒差
66 尾形尚彦 2分11秒差
92 日野竜嘉2分22秒差

個人総合成績
1 HIRSCHI Marc(スイス)5時間3分13秒
2 ULYSBAYEV Dinmukhammed(カザフスタン)45秒差
3 GALL Felix(オーストリア)50秒差
46 日野竜嘉11分39秒差
61 小野寛斗12分39秒差
86 尾形尚彦 21分33秒差

stage3Stage3
最終ステージとなる第3ステージは平坦区間がほとんどないアップダウンが続く105.7kmで争われた。
レースは序盤のアタック合戦のカウンターから尾形が単独アタックを決め15秒から20秒差で逃げる。追走のドイツ選手が合流する前に単独落車したため尾形の一人逃げ状態が続くが、10km弱で吸収される。個人総合リーダーのサドルが折れて代車に乗り換える場面もあったが、終始スイスチームがコントロースをしてレースは進む。イタリア、アメリカ、フランスといった強豪国のエース選手が激しく攻撃するが集団は大きな逃げは許さず、ラストの1kmの登り勝負となる。イタリアが登り口までペースを上げ続けstage1の再現を狙ったが、最後はフランスのTURGIS Tanguyが抜け出しステージ優勝した。日本チームは日野を集団前に上げて勝負するが26位にとどまった。
ジュニアの世界のレベルは年々上がっていると強く感じる。ジュニアネイションズカップで活躍した選手が2年後、3年後にはワールドツアー、プロコンチネンタルチームで活躍している状況は顕著になってきている。その中で今回世界のトップジュニアと走って日本の選手は何を感じたか。海外遠征で貴重な経験を積むためにはトレーニングで運動能力を向上させるだけではなく、コースを事前に調べ、また今回の遠征中3回のTTへの準備、そして寒さ、雨に対しての準備、心構えも必要になる。果たしてそれらの準備がしっかりできていたか。ただヨーロッパに行ってレースを走ることで経験を積める訳ではない。戦う準備、戦う意識がなくても結果を出せる甘い世界ではない。
次のジュニアのネイションズカップは6月17日からドイツで行なわれるTrofeo karlsbergとなる。(JCF強化コーチ 柿木孝之)

Stage3 レース結果
1 TURGIS Tanguy(フランス)2時間23分19秒差
2 NEKRASOV Konstantin(ロシア)6秒差
3 MOBACH Jarno(オランダ)同タイム
26 日野竜嘉15秒差
63 小野寛斗1分26秒差
91 尾形尚彦 9分47秒差

最終個人総合成績
1 HIRSCHI Marc(スイス)7時間26分47秒
2 ULYSBAYEV Dinmukhammed(カザフスタン)41秒差
3 GALL Felix(オーストリア)1分8秒差
48 日野竜嘉11分39秒差
63 小野寛斗13分50秒差
91 尾形尚彦 31分5秒差