2007/01/19

ジョラジャ・マレーシア レポート(2)

img491Jelajah Malaysia2007(2)

●STAGE5
SUNGAI PETANI―TAIPING
距離 117.3km
天候 曇り晴れ、時々雨
気温30度
失うものが無い日本チームは残されたステージで勝負にでる、スタートから激しく動く集団、総合で8位にいる阿部良之以外の選手たちは積極的に動きチャンスをつかもうとするが日本チームへのマークは厳しい。日本選手が入る集団が何回か動くが、どれも成功せずイランチームが主導権を握り先頭を固める。60kmすぎのアタックで廣瀬敏、飯野嘉則、ジャイアント、UAE、ファスコ、マレーシアの5名が逃げに成功。この逃げは次第にタイム差を広げ逃げ切り体制に入り、40秒差のタイムを稼いだところで、飯野嘉則の後輪がパンク。この状態でのパンクは逃げのグループにとっては最悪の事態となる。即座に飯野嘉則の車輪を交換するが飯野嘉則は第二集団に戻ることになってしまった。
先頭は残された4人で先頭交代を繰り返すが1分ほど開いたところでその差は開かない。ゴールまでの距離は近づいてくるが、ぎりぎり捕まる追撃距離に後続集団が居る、残り15km40秒を切った所で廣瀬にアタックの指示をだす。廣瀬は動くが昨日の疲労がありスピードに切れが無く失敗。後方は各チームが協力して遂に先頭を追いだした。残り10kmで集団はひとつになり残り5km、数人のアタックを追って阿部良之が集団より抜け出し、ここに清水良行が追いつきアシストするがこの最後の逃げも吸収される。上がるスピードに体力を消耗しきった廣瀬敏が遅れ、最後に仕事をした増田成幸、飯野嘉則も集団より切れる。飯島は集団スプリントを狙うが囲まれて動けずゴール。阿部良之はタイム差もつけられないように清水良行が守りゴール。今日も良く動きチャンスを作った日本チームだった。

●STAGE6
IPOH―KUALA KUBU BARU
距離141.6km
天候 晴れ 気温35度
昨日同様に失うものが無い日本チームは、攻撃あるのみだが無謀なアタックはここまできたら許されない。戦うチームの作戦を読み同調するチームで攻撃に出るしかない。そこでスタート直後から始まるアタックに若手の清水良之、飯野嘉則が反応する作戦で、どこからでもチャンスさえあれば勝負に出させる。飯島誠、廣瀬敏、そして経験豊富な阿部良之を待機させ、ここに脚質が似ている増田成幸をアシストに回す。阿部良之は総合順位前後の選手を見て走り、その選手たちが動いた時に勝負に出るように指示。スタート直後より繰り返されるアタックのほとんどに日本の選手が反応し攻撃のチャンスをうかがっていく。
緩いアップダウンが141km続くコースで体力の消耗が激しい。60km地点のスプリントポイントを越えたあたりから更に激しく動く集団。小さな逃げに飯島誠、廣瀬敏が乗り差を広げだすか決まらない。96kmのスプリントポイントをすぎたところで4人ほどの逃げが決まりそこに飯島誠が単独で追いつく。UAE、ファツソ、マレーシア、ポリゴンの5人この逃げは最初差が広がらなかったが、粘りに粘り40秒、50秒と数秒ずつ差をつけ始めた。
残り30kmで1分50秒、今日のレース展開で、この差は逃げ切るのに微妙な距離だ。逃げに総合で4位のファッソの選手が乗っているのでその差を広げたら逆転されるチームがでてくる。その為に香港、イラン、マルコポーロが残り20kmで追撃開始。飯島誠のいる先頭は快調に飛ばすが、後方は最大出力で追い始めている。今日ここで勝つ為には最後のチャンスに賭けるしかない、飯島誠にラスト20kmで単独アタックに出るように指示して後方集団の状態を見にチームカーは下がる。一列になった集団のスピードは逃げる集団を上回っている、もし飯島誠が捕まれば、日本チームは最後の力を振り絞りさらに勝負に出る作戦を指示。
飯島誠は予定通りラスト15kmから単独アタックに出て差を広げ始めた。逃げにグループは吸収され更に飯島誠に迫る勢いだ。集団は香港チームが一団で引いてきている。飯島誠との距離は時間の問題となり状況を無線で伝える。つかまった所で阿部良之が緩い坂でアタック差がつくが、必死で追う集団に数キロいったところでつかまる。ここで逃げ続けた飯島誠は戦線離脱。最強の逃げを決めた体力も気力も出しつくした飯島誠は、静かに集団から離れ遅れていく。最後の勝負に賭けチームに貢献し更に明日の為に、ここからはクールダウンでゴールを目指す。
先頭グループはゴール1kmまで下り坂、この坂を下るとラスト600mで左に直角に曲がりラストスプリント。そこで清水良行、飯野嘉則に一気に全方に出るように指示を出すが高速で出れない。ここで数人の選手が落車、その全方の直角コーナーで落車に巻き込まれた廣瀬敏が、カーボンフレームが折れて立ち往生している。ここはゴール前1kmを超えているのでタイム差無しなので、慌てる事は無くゆっくりゴールまで行くように指示した。先頭は清水良行が13位でなだれ込み、阿部良行も無難にゴールした。

●STAGE7
PUTRA JAYA (クリテリウム)
距離 1週2.5km×24LP 60km
天候
曇り雨
アジア選手権でも使用されたコースの一部を使う長方形のコースで起伏がほとんど無いサーキットコースは整備された道とビルに囲まれ風が抜けず気温が高い。レースまで2時間ゆっくりとした時間の流れの中で、次第に雲行きが怪しくなり始め午後3時スタート。レースは、1周のローリングスタート直後よりイランのリーダーを含む3人の強烈な逃げが始まった。その直後、総合で2位のGIANTのアスカリ(イラン)までが逃げに成功、先頭5人との差は40秒に開く。リーダーの攻撃は躊躇すれば危険なほどで、後方グループも動き出すが日本チームは他のチームに追撃を任せ次の展開で勝負でるように指示。後続集団は先頭を追い出し捕まえる事に成功し次なる展開が始まった。
時折降る雨で落車が発生している、ニュートラルサービスを受ける選手が多いなか残り15周を残したところで7人の逃げが成功。廣瀬敏、GIANT、UAE、ディスカバリーマルコポーロ、マレーシア2名、香港で総合成績上位の選手が居ないために後続もペースが上がらない。チャンスの廣瀬敏はスピードを上げるなかラスト10周で降り始めた雨は次第に強くなり見ている観客の体温を奪うほどだ。この雨で危険が伴い高速で追うことが出来ない後続集団と、対照的にペースで走る先頭は、一時後続集団に追いつきそうなところまで迫った。
先頭はこのまま最後のスプリントになりGIANTのLAI(台湾)の先行で廣瀬敏がゴール前に抜けてくるが、廣瀬敏は昨日自転車を壊し、大会側に借りた旧式のスペア自転車でギヤが足りずいつもの伸びが無い。ゴールを同時に通過して写真判定となるが、わずかに数ミリ足りず惜しくも2位。自分の自転車で戦っていれば勝てたレースだったが残念だった。後方集団は1分54秒遅れでスプリントに入り飯島誠が16位でゴール、残りの選手もこの集団でゴールした。
廣瀬  敏 2位 飯島  誠 16位 飯野 嘉則 43位 増田 成幸 46位 阿部 良之50位
清水 良行57位

■個人総合成績
1位 SOHRABI、Mehdi イラン ペトロケミカル
2位 ASHKARI、Hossein イラン GIANT
3位 JUST、Thomas デンマーク ファツソ
9位 阿部良之 日本チーム
21位 廣瀬  敏
26位 飯島  誠
59位 増田 成幸
60位 清水 良行
67位 飯野 嘉則

■チーム総合成績
1位 GIANT
2位 ペトロケミカル イラン
3位 デスカバリーマルコポーロ
7位 日本ナショナルチーム
(監督:三浦恭資)