2016/08/14

リオ五輪<レポート>#11

■リオ五輪トラック競技3日目 女子ケイリン優勝はオランダのリグトレー 20160813
13日に行われたトラック競技3日目は、女子ケイリンと女子団体追い抜きで新たなオリンピックチャンピオンが誕生した。まずは女子ケイリン。決勝に勝ち上がったのはオーストラリアのメアーズ、イギリスのジェームズ、ドイツのフォーゲル、オランダのリグトレー、ロシアのボイノバ、そしてウクライナのバソバの6選手。注目は今年の世界チャンピオン、ドイツのフォーゲルに、この種目では過去3回世界チャンピオンになっているオーストラリアのメアーズ。そして昨シーズン長引く故障から完全復活した2013年の世界チャンピオン、イギリスのジェームズに集まった。周回は前からボイノバ、フォーゲル、メアーズ、ジェームズ、リグトレー、そして最後尾にバソバの並びで進む。レースは残り2周半のペーサー退避のあと動き出した。5番目につけていたリグトレーが残り2周手前で一気にスピードを上げて先頭へ。これにフォーゲル、メアーズ、ジェームズが続く。フォーゲルは前に出切ったリグトレーの後ろの位置を狙うも、その場所を明け渡したくないボイノバがいるため外並走の状態になってしまった。そして残り1周、パワー全開で先行するリグトレーに、2番目外並走の状態から何とか前に出ようとするフォーゲル。しかし最終バックに入った所でフォーゲルの後ろからメアーズ、そしてジェームズが猛然と追い上げに入った。逃げるリグトレーにとっては、ここで後続が混戦状態となったことが思いも寄らない結果に繫がった。リグトレーは持ち前のパワーでそのまま逃げ切ってフィニッシュ。2位には大外から追い込んだジェームズ。3位にはメアーズが入った。信じられないという表情で喜びをあらわにするリグトレー。その一方で同じく思いも寄らない6着に沈んだフォーゲルは、ただただ下を向いて、自分に対してではない称賛の歓声の中を力ないペダリングで進むだけだった。金メダルに輝いたオランダのリグトレーは今年22歳。BMX出身でジュニア時代は世界チャンピオンも複数回経験している。2011年にトラックに転向してからは、身長185cmという大柄な体に宿るパワーを武器に力を伸ばし、ここ2・3年で世界の強豪の一人に数えられるまでに成長を遂げたオランダの若きエースだ。
<女子ケイリン最終結果>
優勝 リグトレー  オランダ
2位 ジェームズ  イギリス
3位 メアーズ   オーストラリア

女子団体追い抜きは、前日の男子同様、世界記録を巡っての戦いが繰り広げられた。まず一昨日行われた予選で、ディフェンディングチャンピオンチームのイギリスが4分13秒260の世界新記録を達成。
そして今日行われた1回戦では、まず打倒イギリスを目標に力を付けてきたアメリカが、イギリスの記録を1秒近く更新する4分12秒282のタイムで新記録を樹立。しかしその直後に再びイギリスが4分12秒152を出し世界記録保持国の地位をすぐに奪還した。そしてこの両チームの対戦となった決勝戦。世界記録を巡る大接戦が期待されたが、ここはイギリスが底力を発揮してアメリカを寄せ付けず、結局1回戦で自らが出した世界記録を2秒近く縮める4分10秒236という驚異的な世界新記録で圧勝した。イギリスはこの種目がオリンピック種目に採用された先のロンドン大会に続いて、大会2連覇を達成した。
<女子団体追い抜き最終結果>
         決勝/3位決定戦    1回戦       予選 
優勝 イギリス  4:10.236(世界新) 4:12.152(世界新) 4:13.260(世界新)
2位 アメリカ  4:12.454      4:12.282      4:14.286
3位 カナダ   4:14.627      4:15.636      4:19.599

もう1種目、男子スプリントは、この日準決勝までが行われた。明日行われる決勝へのキップを勝ち取ったのは、イギリスのディフェンディングチャンピオン・ケニーと、同じくイギリスのスキナー。イギリスの勢いが止まらなくなってきた。(伴 達朗)