2016/08/21

リオ五輪<レポート>#18

■リオ五輪マウンテンバイク初日 女子金メダルはスウェーデンのリスベード 山本幸平「目標は8位入賞」 20160820
8月20日。リオ五輪も残すところ今日を入れて2日。自転車競技も今日開幕したマウンテンバイクが最終競技となる。日本からは明日行われる男子クロスカントリーに、オリンピック3大会連続出場を果たした山本幸平(31)が出場する。競技会場はBMX会場と同じデオドロ地区にあり、起伏に富んだ地形に張り巡らされた1周4.85kmのサーキットが戦いの舞台だ。先のロンドン大会と同じコース設計者がレイアウトした今回のコースには、テクニカルな上り下りに高速コーナー、木立の中のシングルトラック、そして大小の岩が配されたロックセクションなど、見られることを意識したスペクタクルな構成となっている。昨日発表された周回数と距離は、今日行われる女子が、570mのスタートループ1周と1周4.85kmのサーキットを6周回、総距離29.67km。男子は同じくスタートループ1周とサーキット7周で総距離34.52kmとなった。男女とも時間にしておよそ1時間半ほどの戦いとなる。明日の男子クロスカントリーに出場する日本の山本幸平は16日にトレーニング地のカナダからリオ入りし、本番コースで最終調整に努めた。3度目のオリンピック挑戦を前にその心境を聞いた。

山本幸平
今回で3度目のオリンピックになるのですが、1回目は訳分からない間に終わってしまって、2回目は成績を求めすぎて始まる前に疲れてしまったという経験があるので、今回はその反省を生かして良い調整ができました。体の面も気持ちの面も良い状態できています。コースはロンドンの時と同じ人のデザインなので、近年よくあるような人工的な感じが強いですね。従ってテクニカルな部分がすごく多くなっているので一つのミスが大きなタイムロスにつながってしまうと思います。また本番の日は今のところ雨の予報が出ているのですが、雨でコース状況が大きく変わり難易度が上がるということもあり得ますね。でもそうなれば僕のこれまでの経験がものを言うと思います。路面は硬い土の上に細かな砂礫が乗っているような感じで、スピードは出やすいけどコーナーなどではスリップしやすく転倒につながる可能性が高いと思います。なのでスピードコントロールにかなり神経を使わないといけないと思いますね。レースのポイントはまずはスタートですね。スタート位置は僕のランキングでは3列目になると思うのですが、スタートしてからのポジション争いはいつも熾烈になるので、そこでどれだけ前の位置に行けるかがカギだと思います。あとは、スタートしてしまえばみんなが全力でゴールを目指すだけなので、気持ちを切らさず自分のできる限りの走りをすることですね。スタートで良い位置がとれて自分の走りができれば、結果は付いてくると思います。今回は良い意味でリラックスできてるし、なるようにしかならないという気持ちでいるので、とにかく本番では自分の力を出し切ることに集中します。目標は8位入賞です。そこを見据えてスタートしたいなと思います。

29人の選手が参加して行われた女子クロスカントリー。レースはまず、スタートで前に出たスイス勢2人が序盤の主導権を握る展開で進む。スタートループを終えシングルトラックの上りに入ったところで、2人のスイス勢の内インデルガンが抜け出し逃げに入る。それを追うのはもう1人のスイス選手ネフを含む7・8人の集団。その後ろは早くも細切れ状態となり、トップのインデルガンとの差はどんどん開いていく。スタート直後の位置取りの重要さが如実に表れた形だ。サーキットの1周目を終わった時点でトップのインデルガンと追走する7・8人の集団との差は10秒ほど。2周目に入ると、追走集団から数人が脱落しコース半ばでインデルガンを追う集団は、ポーランドのボシチョフスカ、スウェーデンのリスベード、そしてスイスのネフの3人になった。トップのインデルガンとのタイム差は依然10秒前後だ。そして3周目。コース後半の長いジグザグの上りに入ったところで、ついに追走の3人がトップのインデルガンを捕らえた。追いつかれたインデルガンはこの3人のスピードについていけずそのまま後退。トップはボシチョフスカ、リスベード、そしてネフの3人となった。4周目、同じコース後半の山の上りでトップグループからスイスのネフが後れ出す。頂上を越え下りに入るとトップの2人とネフの差は広がり25秒。その後ろの集団とは50秒ほどの差だ。この時点で優勝争いはトップを行く2人に完全に絞られた。5周目、ハイスピードを維持したまま逃げ続けるトップの2人。後方からはカナダのペンドレルが単独で抜け出し追い上げに入るもタイム差はなかなか縮まらない。そして迎えた最終周回、スタート・フィニッシュ地点を過ぎて200mほどで始まるシングルトラックの丘の上りで、スウェーデンのリスベードが一気にスパート。これにポーランドのボシチョフスカはついて行けない。今年世界選手権U23カテゴリーを制し勢いに乗る22歳・リスベードが、32歳のボシチョフスカの体力を見計らってかけた渾身のアタックだ。リスベードは丘を上り切るあたりで15秒程の差をつけほぼ独走状態に。そしてその後も力を緩めることなく全力で逃げ続け、結局、単独追走となったボシチョフスカに37秒の差をつけてフィニッシュ。母国スウェーデンにこの種目で初の金メダルをもたらした。
<マウンテンバイク女子クロスカントリー最終結果>
優勝 リスベード   スウェーデン  1h30’15”
2位 ボシチョフスカ ポーランド    + 37”
3位 ペンドレル   カナダ      + 1’26”

明日はリオ五輪自転車競技の最終種目、日本の山本幸平がベスト8入りを目指して出場する男子クロスカントリーが行われる。スタート時間は現地時間午後12時30分。天気予報ではその時間は曇り。その後弱い雨となっている。(伴 達朗)