2016/08/08

リオ五輪<レポート>#4

■女子ロードレース 與那嶺恵理は五輪初挑戦で過去最高位の17位 20160807
リオデジャネイロ五輪第3日となる7日、自転車競技は前日の男子ロードレースに続いて女子ロードレースが行われた。レースは昨日の男子同様、最終盤の山場で過酷なサバイバルレースが繰り広げられた。
およそ9km続く長く厳しい上り坂を舞台に演じられた力と力の戦い。そしてこの急坂を上り終えた後の下りで起きたリーダー選手の落車というアクシデント。この予断を許さない壮絶な戦いは、単独で逃げ切りを図るアメリカのアボットが、追走してきたオランダのファンデルブレッヘン、イタリアのロンゴボルギーニ、そしてスウェーデンのヨハンソンの3人にフィニッシュ手前150mで捕らえられ、そのままゴールスプリント勝負となった。これを制したのはオランダのファンデルブレッヘン。オランダ勢は前回のロンドン大会でのフォスに続いて、この種目2大会連続で金メダルに輝いた。
日本からただ一人出場した與那嶺恵理は、前半の山場である1つ目の周回コースでのふるいがけに耐え、後半の山場をメイン集団の中で迎えた。先行するのは前回のオリンピックチャンピオン、オランダの強豪フォスを含む7人のトップグループ。最終盤に迎える長く厳しい上り坂を前に決定的な逃げを作りたい7人と、その中にメンバーを送り込めなかったアメリカやカナダ勢を中心に追走スピードを上げるメイン集団。こうした図式の中でサバイバルレースは始まった。與那嶺はここで繰り広げられた世界トップレベルの選手たちの力勝負に、最初の段階は必死に食らいついていったものの、勝敗の行方を左右する最終盤の長い上り坂に入ったところで集団から離され、勝負権を失ってしまった。それでも與那嶺は、初めての五輪を諦めることなくしっかりと走り切り、トップから4分56秒遅れの17位でフィニッシュした。この順位は日本の女子ロードでは五輪史上最高位となる。與那嶺にとって初の五輪挑戦は、世界との力の差を改めて見せつけられる結果だったが、これは想定内。すでに4年後を見据える與那嶺の本当の戦いはここから始まる。

○與那嶺恵理
「実力通りですね。今年ヨーロッパやアメリカで何戦かレースを走ってみて自分の力はわかっていたので今日の結果は実力通りかなという感じです。この結果は悔しいですけど、これでまた今日からまた新たな挑戦がいっぱいできるのでいいですね。今年はこのオリンピック出場のためのポイントを取るためだとか、勝つためのレースをしてきたので、これからは勝つためではなく、強くなるために失敗してもいい挑戦ができるのが楽しみです。今日のレースは、ここまでやることはやってきたので、今自分が持っている力を出し切って、一つでも良い順位を取ろうと思って臨みました。展開は世界選手権で経験したのと同じぐらいタフでした。トップが集まっている世界なので、私ももう一つ前の世界を見たかったのですが、それもまぁ実力通りといった感じですね。スピードも速かったですね。前半は何とか対応できたのですが結構必死でした。後半は長い上りに入る手前の丘越えの展開でいっぱいいっぱいになってしまいました。そのあとリカバリーする間もなく長い上りに入るのですが、そこでのペースアップにはもうついて行けませんでした。その時、これが私の今の実力なんだなという悔しさと、もっとやりたいという思いを感じましたね。今回はこのオリンピックという世界を体感できたので、これを4年後につなげないといけないと思っています。そしてまた今回感じた事を、次の世代の選手たちにもちゃんと伝えないといけないなと思っています。」

與那嶺はこの後、10日に行われるタイムトライアルに出場する。(伴 達朗)