2008/09/18

北京パラリンピック ロード最終日レポート

9月14日男子タンデムロードレース
いよいよ北京パラリンピック自転車競技の最終日。これまでの長く苦しい日々を考えると、あっという間。信じら れない思いだ。この日は、午後の最終種目男子視覚障害(タンデム)ロードレースに大城竜之・高橋仁ペアが出場。トラックの最後には、不可解な進行と判定に 泣いたが、とにもかくにも気を取り直してロードに挑んでいた。2年前の世界選では、この種目堂々6位入賞。昨年もあと2周でのアクシデントに泣いたが、そ れまでは入賞可能な位置に付けていた。彼らには今回難しいコースだが、何とかついて行って欲しい。
ホイールベースが長く、2人分の重さの加わった2人乗りタンデムには難儀なコース。何よりも事故が心配された。この日は、前日に比べてかなり蒸し暑い。日差しも強くなってきた。
午 後2時スタートのレース、12.1キロを8周の96.8キロ。初周からポーランドの2番手ペア(と思われる、1番手は2年連続世界チャンピオン)・フラン ス・フィンランド(ほぼ無名?)がトップ集団を形成。58秒差の大集団には日本ペアの姿もあった。2周目のゴールエリアでも状況は変わらず。ただ、先頭集 団も第2集団もゴールエリア付近では牽制気味。その差は1分41秒ほどに広がっていた。ゴールエリアに来た集団にいる日本を紹介するアナウンスでは、 “Japan is very strongin this competition(今大会非常に強い日本)とのアナウンス。すごく誇りに思った。
3 ラップ目のゴールエリアでは、トップ集団変わらずも、それに続いて豪ペア。すぐに集団。その中に日本は見当たらない。トップから2分59秒差の第3集団に 大城・仁ペアがいた。やはりこのコースは難しいものがあったのか。4周目のゴール付近でも、状況は変わらない。トップ3台と第2集団との差は2分51秒ま で広がり、どうもこの3台で決まり、という様相になってきた。2年連続世界チャンピオンのポーランド本命ペアやオーストラリア・ベルギー・スロバキアなど の実績のあるペアからはあせりの色が。そして苦しい表情が。
5周目のゴールエリアを通過し6周回に入っても、同じだ。先頭3台は、5分後スタート の女子タンデムをあっさり追い抜いていく。フランスを除き、昨年までの主要大会では上位にいなかったペア。そのため、強豪ペアたちは楽観して追わなかった のか。第2集団はさすがにペースを上げて追う。その差はわずかに縮まっただけ。間違いなくメダルはポーランド・フランス・フィンランドになりそうだ。
大城・仁ペアは、トップから7分38秒差がついてしまった第4集団に。パイロット高橋仁の首に後乗り大城が水をかける。ピット前を通過する際に、仁が手を上げてチームに合図を送る。かなり蒸し暑さで、苦しい様子だ。
予 想通り6周目に入っても大きな流れは変わらず。7周目のゴールエリアでは、後続集団とトップとの差が縮まったことが表示されたが、もはや上位3組は決まり だ。最終周回に入る際、大城ペアは大きく遅れてしまったが、完走は出来るだろう。最後まで悔いの無いよう走って欲しい。大声で声援を送る。
そして、ゴールエリアにトップ集団が帰ってきた。過酷な戦いを制したのは、ポーランドの“第2”ペア、Zajac/Flak組。これで3年連続ポーランドがこの種目を制覇。2位はフィンランド。3位フランス。
大城・高橋ペアは、最後2台を抜いて意地を見せ、13位で完走。
これですべての競技が終わった。日本は、金1銀3銅2、計6個のメダルを獲得。これはダントツで過去最高だった。記録も良かった。内容の濃い、価値のあるものばかりだった。
これからも、パラサイクリング日本チームを何卒よろしくお願い申し上げます。
日本障害者自転車協会
栗原 朗