自転車競技は基本的に競技者のヒトとしての能力を競うものであり、使用する機材の性能を競うものではありません。そのための規則として、UCI規則第1部3章、JCF規則第5章16条などが定められています。これらの現行規則の原型は1990年代後半から2000年代にかけての改訂を経て整備されてきています。安全な乗車姿勢の保持を意図してさまざまな寸法規定が定められていますが、この規則の中にある部材断面の縦横比3対1以下という規定(JCF規則第16条3。d②、p27)は当時も今も変わりありません。
この規定に抵触するような機材は規則制定当初はあまり多くありませんでしたが、この十数年の間のカーボン素材を使用したフレーム、パーツの開発により、規則に適合しない製品も市販されるような状況になってきています。これに伴い競技前のバイクチェックも、この3対1規定に限らず、寸法規定全般について厳しく行うことが求められるようになってきました。実際に競技の現場において規則適合違反が見つかり、機材の交換をせざるを得ない事例も国内外において次々に発生しております。
ついては皆さんが所有している、使用している機材について規則を遵守したものであるか点検した上で競技大会に参加するようにしてください。なぜなら機材が規則に適合していること保証することは、使用する競技者自身に課せられているからです。この3対1の規定はハンドル・バーやシート・ピラーに限らず、フォーク・ブレードやシート・ステーにも適用されます。この点検にはJCFウェブサイトに掲載してある「UCI 技術規則の明確化ガイド」(https://jcf.or.jp/wp2012/wp-content/uploads/downloads/2013/07/Clarification-Guide-of-the-UCI-Technical-Regulation-ver20130211-ej-standard.pdf)が参考となりますので、一読してください。
規則に適合しない機材では、原則としてスタートすることを拒絶されます。またスタートしてしまってから適合違反が判明した場合には、レースから除外または失格とされます。規則に即した裁定の最終権限は現場のコミセールにあり、後日覆すことはできません。
日ごろの研鑽を示す場において残念な結果とならないように、適切な機材の準備をされるよう、重ねてお願いいたします。