トラック最終日 レポート
ジャカルタ・インターナショナル・ヴェロドロームで開催されたアジア大会自転車トラック競技。5日間にわたり熱戦が繰り広げられたが、31日に最終日を迎えた。
女子スプリントは、昨日の1/8決勝での日本人対決を勝ち上がった太田りゆ(日本競輪選手会埼玉支部)が1/4決勝に出場し、LEE Wai Sze(香港)と対戦。積極的に攻めるシーンも見られたが二本先取され敗退し太田は8位。1/8決勝で敗退した前田佳代乃(京都府自転車競技連盟)は9位だった。LEEはその後、圧倒的な力で女子スプリントを制し、ケイリンに次ぐ今大会2つ目の金メダルを獲得した。
男子ケイリンは新田祐大(日本競輪選手会福島支部)が銀メダルを獲得し、脇本雄太(日本競輪選手会福井支部)が5位だった。二選手は一回戦をそれぞれ首位通過し、二回戦で新田が1組2位、脇本が2組1位で決勝へと勝ち上がった。今大会の最後の決勝種目となったケイリン決勝は、大熱狂のなかで開催され、最終周回に入り、新田が先行しレースをリード。しかし、ゴールライン直前で勝者となるANGSUTHASAWIT Jai(タイ)に抜かされ、写真判定の僅差で2着、銀メダル獲得となった。
男子マディソンでは橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)と今村駿介(中央大学)がペアを組んで出走し、銅メダルを獲得。優勝は香港で59ポイント、日本は28ポイントだった。女子マディソンには橋本優弥(鹿屋体育大学)と梶原悠未(筑波大学)が出場したが、中盤から失速し4位でレースを終えた。
■結果
男子マディソン
3位 日本(橋本英也・今村駿介)
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男子ケイリン
2位 新田祐大
5位 脇本雄太
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女子マディソン
4位 日本(梶原悠未・橋本優弥)
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女子スプリント
8位 太田りゆ
9位 前田佳代乃
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●新田祐大のコメント(男子ケイリン 銀メダル)
今大会のチームスプリントで自己ベストが出たので、最終日のケイリンに向けて高いモチベーションをもっていた。決勝では落ち着いて、力を発揮することだけを考えて走った。思ったような展開にはならなかったが、残り1周回で自分の力を出すべく先行したが、最後のストレートで抜かされてしまった。ゴールライン直前で、抜き返そうとハンドルを投げたが届かなかった。出発直前に落車したが、コーチに「出たいと思っているなら出るべき」と言ってもらい、そう思ってくれる監督や、現地に来てから完璧な状態に調整していただいたスタッフ、ここに来れなかった仲間のためにも必ずメダルを取りたいと思っていた。
●脇本雄太のコメント(男子ケイリン、5位)
自分が仕掛けたところで迷いがあったのがすべての敗因。二回戦では3位までが勝ち上がりだったので、多少強気に攻めても大丈夫だったが、決勝になると勝ちたい気持ちから渋ってしまった部分があった。
●橋本英也のコメント(男子マディソン 銅メダル)
昨日のオムニアムの疲れが残っていたので、最終日のマディソンは勢いで走った。ここに来るまで、マディソンに特化したトレーニングをしていなかったため、どこまで走れるかわからず、まずはメダルを目標にして走った。銅メダルを獲得できて良かったが、上位2カ国とは大きな差があった。東京オリンピックに向けて、チームパシュート、オムニアム、マディソンとすべての種目への能力を高めていき、もし今後マディソンに集中するなら、ヨーロッパの六日間レースに出場することも考えていきたい。
●太田りゆのコメント(女子スプリント 8位)
格上相手にどうやったら今後の可能性を見出せるか、相手がどんなに強くても諦めずに戦う姿勢をみせるということを意識して挑んだ。脚、経験すべての面で負けていて、いくつか自分がやりたいことを考えていたが、一本目では何もさせてもらえず、中途半端な走りになった。二本目は自分から仕掛けようと思いスタートしたが、スピードの違いもあり、世界との差を感じる結果になった。いろいろとできないながらに勉強し、課題を見出しながら走っている。リスクをもってでも難しい相手に戦えるように向き合っていきたい。
●ブノア・ヴェトゥ短距離ヘッドコーチのコメント
今日はいいレースだったが、男子ケイリンでは表彰台に日本人二人が乗って欲しかったので、けっして思うどおりではなかった。脇本選手はもっと早い段階で行くべきだったし、勝負のかけ方も今回のやり方ではないほうがよかったと思う。けれど、日本チームとしてはメダルを獲得できたので、がっかりするだけではない。新田選手はいいレースをし、フィニッシュラインでの差はわずかだった。ポジティブな面もたくさんあったので、今回の経験を将来につなげていきたい。自分の力を出し切らずに負けるのは好きではないが、今回は違う。今後の方針を決める大会になった。昨年の世界選手権で勝っているアワンが3位という表彰台はレベルの高いものだった。全体の結果については金メダルがないので、がっかりしている気持ちが強い。しかし、今後のトレーニングの方針に繋がる収穫もあったので、引き続き頑張っていきたい。
●イアン・メルビン中距離ヘッドコーチのコメント
男子マディソンはできるだけいい組み合わせを探っていて、今回は今村選手と橋本選手のペアになった。二人ともベストな状態ではないなかで頑張り、できるかぎりの走りをした。今はチーム全体として疲れが溜まっている。ワールドカップに向けての調整で、疲労感が出やすい段階であり、とくに女子は大きく影響した。女子二人は疲れ切っている状態だった。それでもスキルの面や、二人の連携など改善点が見つかった。全体的には、目標をすべてクリアできたわけではないが、金メダルを取れた種目もあるし、選手がやるべきことをやってくれたことに満足している。これまでやってきたとトレーニングは東京オリンピックに向けて重要なものであるし、秋からのワールドカップで成果が実り、結果に繋がることを願っている。