最終ステージとなる第3ステージは、登り区間が前半に1か所あるのみで、アップダウンの多い112kmで争われた。日本チームがネイションズポイントを獲得するために、スプリントポイントでのボーナスタイムを獲得して石上の総合順位を上げることと、集団スプリントになる可能性が高いこのステージは、孫崎のスプリントのためにチームの力を使うことをレース前に確認した。
レースはスタートしてすぐにペースアップして、集団からは抜け出すのが難しい状況が続く。最初の登りで抜け出したイギリスの選手がスプリントポイントまで逃げ続け、集団はカザフスタン、ベルギー、イタリア、ノルウェーらが強力に引っ張り、集団スプリントでのボーナスタイムを狙ってきたため、石上ら日本チームは動くことが出来ず、ボーナスタイムを獲得できない。24kmのスプリントポイント直後で水谷がパンクする。アップダウン区間では石上、小山が攻撃するが、集団のスピードは速く抜け出せない。60km地点で5人の逃げが決まり15秒ほど先行する。65km地点で総合リーダーのフランスの選手がパンクした際にも攻撃がかかり続け、さらに8人が合流して13人の先頭グループが集団に45秒差をつける。日本チームはここに入れなかったが、総合リーダーを抱えるフランスチームが一気に5人でまとまって先頭グループを追いかけると集団はペースが上がり、ここで水谷、冨尾、小山が遅れる。石上は集団先頭付近に位置取っていたが、ラスト20kmでイギリスの選手が落車し巻き込まれてしまう。追走するまでに時間がかかったが、最後まであきらめずに追いかけ続ける。ラスト5kmで集団の隊列に戻るところまできたところでさらなる落車が発生して、チームカーが道を塞いでしまい集団復帰がかなわなかった。メイン集団には草場、孫崎が残り、孫崎はラスト500mでは第1ステージの集団スプリントを勝っているフランスの総合リーダーのすぐ後ろにつけるが、目の前でその選手と総合2位のドイツ選手が絡まって落車してしまい、それに乗り上げて落車する。結局この日のステージは草場の16位が最高位であった。
石上が落車に巻き込まれなければ、または最後の落車で道を塞がれず集団に復帰できていれば個人総合で20位に入り、ネイションズポイントが獲得できていた。ゴールスプリントの際にベストポジションで最終コーナーに入った孫崎も、運がなかった。ロードレースはトラブルがつきものなのだが、チームとしては厳しい結果となった。
次の日本チームが参加するUCIネイションズカップは5月末のアジア選手権となる。
レース結果 ツアー・オブ・イストリアstage3
1 WOUTERS Enzo (ベルギー) 2時間47分02秒
2ROVSTOVTSEV Sergei (ロシア)
3ROMANO Francesco(イタリア) 同タイム
16草場啓吾(北桑田高校)同タイム
74孫崎大樹(北桑田高校)同タイム
77石上優大(横浜高校) 1分差
98小山貴大(前橋育英高校)4分18秒差
99冨尾大地(南大隅高校)同タイム
104水谷翔(南大隅高校)
20014 ツアー・オブ・イストリア 個人総合成績
1 PARET PEINTRE Aurelien (フランス) 2時間41分59秒
2 KAMNA Lennard (ドイツ)
3 IDJOUADIENNE Pierre(フランス)
39孫崎大樹(北桑田高校)1分16秒差
42石上優大(横浜高校)1分29秒差
90草場啓吾(北桑田高校)19分57秒差
101冨尾大地(南大隅高校)32分26秒差
102水谷翔(南大隅高校)32分36秒差
105小山貴大(前橋育英高校)33分差
(JCFロード部会員 柿木孝之)