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2024/02/10

【レースレポート】2024UCIシクロクロス世界選手権

2月3日(土曜日)

木曜日に降った雨でコースコンディションは土が乾くことはなく、湿り気があり滑りやすい泥だった。登坂ではランすべきセクションが増え、乗車とランの切り替えが重要だと思われた。

【女子ジュニア】 

日吉愛華 37位 +4:52

序盤の混乱の回避、コースコンディショニングが泥であるために降車区間があり、必要に応じて早めの判断でスピードを落とさないように走り続けるように指示した。ペースについては、パックになることができれば、パックでしっかりと展開できるようにと伝えた。

スタートが遅く、ほぼ最後尾スタート。しかし、スタート後半周で順位を大幅に上げた。表情が常に苦しそうで、オーバーペースと泥のコンディションによる重馬場で、身体への負荷が高いことが見て取れた。しかし、ハイペースを保ちつつも常にパックでレースを展開でき、ゴールまで右肩上がりで走り続けるとても力強いレースが出来ていた。

【男子U23】

鈴木来人 42位 +7:40

彼はヨーロッパに入ってから勢いづいており、前週のワールドカップでも好走。過去にフランスにいた経験もあり、場慣れしているのでその走りは試走の段階から自信に満ち溢れていた。コンディションが泥で降車区間も長いので、ランで苦しむと思われたが、スタートから順位を大きく落とすことなく、淡々と自身の走りが出来ていた。レース中も集中し、且つ周りがよく見えていた。このコンディションでの42位という結果には数字以上のものがあり、素晴らしいレースが出来ていた。

柚木伸元 52位 +10:27

彼のスピードと技術を活かし、世界選手権ではしっかり1周目から積極的に踏んでいくように指示した。11月の彼の走りを見る限り、前週ワールドカップよりもっと上を目指せると判断した。1周目前半は、彼自身も攻め、おそらく20番台で展開できた。しかし、その順位圏内のスピードに耐えられず、チェーントラブルも重なり、ペースを立て直すのに中盤まで時間がかかったようだった。後半はペースを持ち直し、フルラップ圏内で持ちこたえてゴール出来た。

日吉愛華

鈴木来人

柚木伸元

2月4日(日曜日)

コースコンディションが土曜日より乾き、ラインが出来ている箇所も増え、乗車率が向上した。轍も硬くなり、轍の処理が土曜日に比べ容易になっていた。

【男子ジュニア】

ワールドカップと同じく序盤から中盤にかけてのレースの繋ぎ、そして、コースコンディションが荒れているので落車などに巻き込まれると思うが、焦らず一つ一つを処理していくように伝えた。

成田光志 48位 +6:45

レース前から、経験したことのないコースとコース状況に緊張しており、走りが固くなっていた。序盤こそ走りに安定感がなかったが、レース後半になり、彼本来の持ち味である走りを取り戻せて、順位も回復した。前週ワールドカップに比べ、スピード域も低く、ランも多くなり、彼自身経験したことのないレース状況と身体負荷で前半戸惑ったと思う。終始、順位を上げていくレースができ、最後はうまくまとめられたレースだったと思う。

野嵜然新 57位 +7:39

彼への目標としては、トラブルなくレースを終えるように指示した。試走の段階から落車も多かったのでまずはゴールできるように、そして、そこから結果を求めるのが正しいステップだった。序盤から苦しそうだったが成田君と同じパックで展開できており、ペースを保つことができていた。しかし、後半にかけて、ミスが目立ち、また体力も限界を迎え、遅れをとっていった。そんな中でもできる限りコースに対応し、バイクを壊すことなく、しっかりとゴールできたことは今の彼にとって大きな成果に思えた。

【女子U23】

渡部春雅 26位 +10:34

泥のコンディションに全く対応できていなかったが、レース当日の試走で自信を持って走れるまでに改善することができた。タイヤの空気圧、ライン取り、降車区間などディスカッションを行い、レースでの思考的負荷を減らし、レースに対して出来る限り集中できる環境を整えた。1周目の落車により、レース後方からの展開になり序盤苦しんだが、後半にかけてのペース維持は素晴らしかった。単独走行が多かったが、前後にペースを維持する目標となりうる選手がおり、彼女のペース維持の支えとなってくれていたと思う。心の強さが見えたレースだった。

【男子エリート】

沢田時 44位 -2Lap

前週ワールドカップと同じく、序盤から彼自身の持っているポテンシャル以上のパックで展開する積極的な走りが必要だと話し合った。スタートから最後まで集中して走れているのが見て取れた。パックでの展開は難しかったが、泥の処理や登坂も多いため、自身のペースを刻むので精一杯だったと思う。完走こそならなかったが、今の彼の持っているものを全て出せたと感じた。世界選手権という舞台で、泥のコンディションでそのような走りが出来ること自体難しいので、彼の走りはとても素晴らしかったと思う。ただ、選手本人にとってもチームにとっても、言い訳のできない結果となったため、チームとして今後の世界への挑み方を考えるべきだと改めて考えるきっかけとなった。

成田光志

野嵜然新

渡部春雅

沢田時

【総評】

前週のワールドカップと異なり、コースコンディションが泥となり、各選手苦戦を強いられた。日本とヨーロッパでは泥になった時のコースの質が全く違うため、各選手戸惑っていたが、そんな中でも最低限のフルラップ完走を果たし、トラブルなくレースを終えられたことはナショナルチームとして大きな収穫だった。沢田選手の-2Lapも恥じるものでは決してない。新しいシクロクロス日本代表チームとして、この世界選手権を経てようやくスタートに立てたと思う。ナショナルチームとして意識基準を世界に。これから来年の世界選手権に向けてどのような活動ができるか各選手と話し合い、来年以降につなげていきたい。

※2024UCIシクロクロス世界選手権 派遣選手団