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2026/01/30

JCFロード部会第5回会合のご報告(2026 年1月27日)

公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)ロード部会は、2026年1月27日に第5回会合を開催し、「選手育成パスウェイの具体化」「全日本選手権の運営見直し」「ステークホルダー連携」について議論を行いました。

出欠状況

出席者:加地/飯田/中梶/別府/大庭/古家/松村/今西/川口/栗村/辻/樫木

会合の概要

今回の会合では、前回までに議論されたパスウェイ(選手育成の道筋)の具体化を中心に、全日本選手権における運営面の見直し、および普及施策の進捗確認が行われました。
また、メーカー・主催者等のステークホルダーとの連携状況についても報告・共有が行われました。

パスウェイに関する議論

【大学経由パスウェイの具体化】

松村・川口両氏より、前回提示された大学進学ルートのパスウェイについて、より具体的な内容が共有された。
・T1(高校生段階):国内公認レースへの参加、集団走行スキルの習得、トラック中距離の基礎習得
・T2(大学1年):育成プログラムを経て国内チームに所属、学連レースで実績を積む
・T3(大学2~3年):コンチネンタルチームへの登録、UCIポイントの取得、年代別国際大会への出場
・T4(大学4年~卒業後):国際レースでの入賞、プロ契約を目指す

【海外直接挑戦パスウェイ】

別府氏より、大学を経由せず早期に海外挑戦を目指すルートについても提案された。
・T1(~18歳):国内レースで実績を積む、語学・生活スキルの早期習得
・T2(U19):ナショナルチームでの短期海外遠征、民間プロジェクト、または海外U19クラブチームへの所属(選択制)
・T3(U19後半~U21):海外クラブチームに所属し、欧州エリートレースで上位入賞(Top10)、UCIポイント取得
・T4(U21~U23):海外クラブチームに所属し、欧州エリートレースで優勝、欧州UCIレースで優勝および入賞を目指す。欧州コンチネンタル・プロ・ワールドツアーチームへの昇格を目標とする

【海外挑戦における課題】

・日本は国内コンチネンタルチームが多いため、欧州クラブチームレベルの重要性が認識されていない傾向がある
・欧州コンチネンタルチーム加入のハードルは非常に高く、即座にコンチネンタル登録を目指すのは現実的ではない
・欧州クラブチームレベルでも実際にはプロレースよりも厳しい環境であり、ここで実績を残す経験が重要
・個人で海外クラブチームに所属する場合、旅費と滞在費を自身で工面しなければならない点が最大の障壁
・民間の海外派遣プログラムとの連携が現実的な選択肢として提案された

【評価指標の整理】

・各段階での到達要件として、全日本選手権でのリザルトを基準とする方向性が提案された
・ハイパフォーマンスセンター(HPCJC)との連携により、パワー等の定量指標を活用する可能性についても議論された

【強化指定選手について】

・強化指定選手の発表がなされていない現状について確認が行われた
・パスウェイと強化指定の連動が必要との認識が共有された
・パスウェイの各段階に誰が・何人いるかを把握できる仕組みの整備が求められた

【トラック中距離との連携について】

・トラック中距離の選手がすぐにロードに繋がるとは限らないとの指摘があった
・一方で、これまでの10年間とは異なるアプローチでチャレンジを行うべきとの意見も共有された

コーチ制度に関する議論

【ロードコーチ認定制度の素案】

部会長より、USA Cyclingを参考とした3レベル制のコーチ認定制度の素案が提示された。
・Level 1:上級コーチ(エリート選手の育成が可能)
・Level 2:中級コーチ(幅広い選手層に対応)
・Level 3:認定コーチ(基礎知識を習得した入門レベル)
主な特徴として、以下が提案された。
・専門分野証明書制度(トレーニングデザイン、生理学、アスリートマネジメント、コーチングビジネス)
・継続教育制度(CEU)による年間学習の義務化
・オンライン学習管理システム(LMS)の構築
・Level 3については、アテンダント講習との置き換えや無償化による指導者の底上げについても検討された
・高校の指導者への負担軽減も考慮しながら制度設計を進める方針
・高校・大学の指導者が同じ方向を向いて選手育成に取り組むための基盤として、コーチ資格制度の整備が重要との認識が共有された

全日本選手権の運営見直し

【女子のチームカー運用】

・日本一を決めるレースにふさわしい運営体制の構築が議論された
・前年度上位選手(6位以内)については、人数にかかわらず個別のサポートカー運用を認める方向性
・乗り合い運用の場合は、レース中の順位に応じて前方選手を優先する等のルール整備を検討

【男子U23カテゴリーのサポート】

・男子U23については、ニュートラルサポートを中心とした体制で対応する方向性が確認された

ステークホルダー連携

【メーカー・主催者との連携状況】

普及施策の一環として、以下のステークホルダーとのコミュニケーションが進められていることが報告された。

・メーカー:国内外メーカー各社
・主催者:ツール・ド・おきなわ、大磯クリテリウム 他

【連絡協議会の設置】

・主催者・メーカー・ショップとの連絡協議会を設置し、継続的な連携体制を構築したい旨が共有された

【普及施策(新重量規制)】

・入門カテゴリー向けの機材重量規制について、メーカーとの対話を通じて最善策を模索する方針が確認された
・ショップを導入サポートの拠点として活用する可能性についても検討が進められている

【普及施策・新カテゴリーの素案提示】

部会長より、普及施策および新カテゴリーについての素案が提示された。主な内容は以下の通り。

<チャレンジクラス(機材重量規制)>

・完成車重量9kg前後(仮)の規制を設けたエントリーカテゴリーの新設
・最適な重量値については今後検討を進める
・中高生は全カテゴリー必須、大学生は下位カテゴリーに適用を想定
・参入コストの抑制(15~35万円程度)による競技人口拡大を目指す
・メーカー協力による推奨モデルリストの作成を検討

<エンデューロ・ヒルクライムの公認競技化>

・非公認レースの統合と登録選手拡大を目的とした公認化
・全日本エンデューロ選手権・全日本ヒルクライム選手権の新設を検討
・女子選手の競技機会拡大のため、エンデューロにおける男女混合部門の設置も提案

<安全講習の義務化>

・入門者向けレース参加者への事前安全講習受講を義務付け
・オンライン講習と対面講習の併用を想定

<その他>

・クロスバイク・フラットバーレースの公認についても、実現の難易度は高いものの検討の価値があるとして言及された

 

部会内で資料を展開し、次回会合においてより深い議論を行う予定。

報告事項

【2025年ツール・ド・おきなわについて】

・前回会合で指摘された安全管理上の課題について、主催者側での原因確認が行われていることが報告された

【その他】

・医事委員会への相談事項として、特定の健康状態における競技参加の可否に関するガイドライン整備の必要性が提起された
・e-Sports部会との連携についても、今後の検討課題として共有された

総括

今回の会合では、パスウェイの各段階における具体的な到達要件の整理が進み、全日本選手権の運営面でも選手目線での改善方針が確認されました。
また、普及施策におけるステークホルダー連携が着実に進展していることが報告されました。

部会長コメント

パスウェイについては、各委員の知見を集約し、選手が目指すべき道筋がより明確になってきました。
国内の育成が同じ方向を向くためにも、このパスウェイの浸透が不可欠です。
さらに、ハイパフォーマンスセンター(HPCJC)の知見を共有することで、新しい日本ロード育成体制を構築していきたいと考えています。
コーチ制度の整備と合わせて、高校から大学、そして世界へと続く一貫した育成体制の実現を目指します。
ステークホルダーとの連携についても、具体的な施策実行に向けて引き続き対話を進めてまいります。

今後の予定

次回会合では、以下の事項を中心に審議を行う予定です。
・パスウェイの最終案確定と公表準備
・コーチ認定制度の詳細設計
・普及施策の実行計画具体化


公益財団法人日本自転車競技連盟
ロード部会長
加地 邦彦