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2026/08/03

JCFロード部会第12回会合のご報告(2026年7月28日/2026年度第4回)

公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)ロード部会は、2026年7月28日に第11回会合(2026年度第4回)を開催し、「2026年強化指定選手の追加指定と派遣選考申請」「全日本選手権個人タイムトライアル競技大会報告書への対応」「全日本選手権タイムトライアル残り種目の代替開催」「(仮称)JCFハイパフォーマンスコーチ認定制度の骨子」について議論を行いました。

出欠状況

出席者:加地/中梶/飯田/今西/大庭/川口/栗村/松村/古家/樫木/辻
欠席:別府
事務局:齋藤/松隈

会合の概要

本会合では、世界選手権をはじめとする今後の国際大会への派遣を見据えた強化指定選手の追加指定を審議するとともに、全日本選手権個人タイムトライアルの競技大会報告書を題材とした大会報告の在り方の整理、中止となった残り種目の代替開催に向けた調整状況の確認、そして指導者育成の新たな枠組みとなるコーチ認定制度の骨子まで、強化・大会運営・育成基盤の整備にわたる議題を扱いました。

強化指定選手の追加指定・派遣選考申請

ナショナルチームコーチからの推薦に基づく2026年強化指定選手の追加指定(12名)と、世界選手権・国内UCIレース(おおいたアーバンクラシック、ツール・ド・九州)への派遣選考申請について審議しました。

・全日本選手権の結果により基準に該当する選手に加え、強化スタッフの推薦による追加指定を確認した

・直近の全日本選手権等で結果を残した若い世代を厚く指定する方向性を、前回会合で確認した選考の考え方(基準該当者を確実に指定する運用)に沿ったものとして評価した

・一部の選手については、推薦理由・選考の狙いをナショナルチーム側へ追加で確認したうえで結論を出すこととした

・世界選手権の派遣候補については、ジュニアカテゴリーを中心に直近の大会結果も踏まえて 最終確認を行うこととし、選手強化委員会での決定を経て所定の期限までに登録手続きを進める

・海外の所属チームから日本人選手の成長を伝える推薦の連絡があったことが共有され、こうした海外チームとのネットワークを大切にしていく方針を確認した

全日本選手権個人タイムトライアル競技大会報告書への対応

本年度の全日本選手権個人タイムトライアルについて、チーフ・コミッセールから提出された競技大会報告書を競技規則と突合し、部会としての評価と今後の対応を議論しました。

・突合の結果、本報告書には、規則に基づく指摘のほかに、部分的な根拠にとどまるもの、 根拠の示されていない運営上の意見・提言、規則の引用に誤りのあるものが、区分されないまま混在していることを確認した

・公式の報告書は、最終的な監視した事実で構成することが規則上求められている(競技規則第36条)。事実に基づく指摘と個人の見解が混在した現状の形では、翌年以降の改善につながりにくい内容であると部会として評価した

・一例として、沿道樹木について「近年は倒木する案件が発生しているとのこと」と伝聞の形でコースの安全上の疑義が記載されているが、部会として道路管理者の公表資料等を確認した結果、倒木の事実は確認できなかった。記録が確認できたのは枯れ枝の落下による車両損傷であり、これに対しては道路管理者による毎年の診断・剪定と計画的な植替えという予防的な管理が行われている。懸念が顕在化する前に対処することこそが予防的な管理の性質であり、管理上の懸念が存在することと、大会当日に現実の リスクが存在したこととは区別して扱われなければならない。なお、強風時には 当該道路自体が通行止めとなる運用が定められており、大会においても悪天候時実施要領に基づき強風となった第2日は中止としており、当日のリスクには適切に対処している

・このように客観的な根拠を伴わないリスクの記載が独り歩きすれば、多大な尽力をいただいている主催者・地元関係者の開催意欲を損ない、公道レースの持続的な開催の基盤を揺るがしかねないことを確認した

・コミッセールの権限は規則の適用と競技進行の管理であり、リスクの許容度やホスピタリティなど主催者の裁量に属する事項への評価は、公式報告書が担うべき役割ではないことを整理した

・審判員からの率直な指摘・提言はそれ自体、大会をより良くするために歓迎すべきものであり、それを確実に改善につなげるため、根拠を伴う事実と意見・提言を区分して記載する報告書のフォーマットを部会として整備し、次年度大会のコミッセールに提示していくこととした

・また、大会特別規則に補給の可否の記載がないことが不備として指摘されているが、この点は条文自体の確認が必要である。該当するUCI規則2.4.021は 「The specific regulations for the event shall indicate if feeding is permitted and which conditions apply.」と定めており、補給地点について定めるUCI規則2.2.012が 「feeding points, if any(補給地点を設ける場合)」としていることも踏まえると、 UCI規則は補給を行わないことを既定とし、許可する場合にその旨と条件の明示を求める建付けと読める。一方、これに対応するJCF競技規則第82条16項は「大会特別規則に おいて、競技者への補給を許可するかどうか、その条件をどうするかを明示する」と、許可しない場合を含めた明示義務の形になっており、翻訳の過程で原文にない義務が付加された可能性がある

・本件の指摘はこのJCF競技規則の日本語文言を前提としたものであり、UCI規則に照らせば規則違反には当たらない(記載がない場合は補給不可が既定であり、当日も補給を認めない旨の公式通知が発出されているため、実害も生じていない)

・JCF競技規則第82条16項の文言については、UCI規則の原文と照合のうえ、関係委員会と連携して是正を進める

・あわせて、審判員の選考プロセスについて、選考経緯の記録化など客観性・透明性を高める取り組みの必要性を確認した

・審判員・競技役員の処遇についても議論した。報告書には、大会後の懇親会の会費 (5,000円・6,500円)が競技役員の日当を上回る価格設定であったとの指摘があるが、会費自体は世間一般の水準を外れるものではなく、むしろ全日本選手権の競技役員の 日当が一般的な懇親会の会費を下回る水準にあることこそが本質的な課題であると部会として受け止めた。日当等の実態の確認を進め、他種目の水準も参考にしながら 改善に向けた検討を継続することとした

全日本選手権タイムトライアル 残り種目の代替開催

悪天候により中止となった残り種目(女子・チームTT・ジュニア・パラ)の代替開催について、調整状況を確認しました。

・11月1日の開催に向けて、具体的な会場候補との調整が進んでいることを確認した

・開催時期の関係で今季のUCIポイント対象外となる見込みであることについて、各カテゴリーへの影響を評価し、選手への影響は限定的であることを確認した (パラ種目の取り扱いは別途確認を進める)

・所要の手続きを経たうえで、開催概要を正式に発表する予定である

また、東京都自転車競技連盟が主催する全日本マスターズタイムトライアル(10月31日・大島)について、 例年どおりJCF共催として実施することを確認しました。

(仮称)JCFハイパフォーマンスコーチ認定制度の骨子

ロードレースの競技開始年齢が下がる中で、早い段階から科学的知見に基づいた指導を受けられる環境を整えるため、ハイパフォーマンスセンター(HPCJC)との協業による独自のコーチ認定制度の骨子を審議しました。

・事務局が実施した公認指導者実態調査の結果、指導の担い手の中心は高校生を指導する学校関係者であることが確認され、制度設計の前提として共有した

・学校教員・保護者が短時間で取得できる入門レベルから、地域で基本的な指導を担うレベル、科学的知見に基づく専門的な指導を担うプロフェッショナルレベルまでの段階的な資格構成とし、定期的な更新講習によって内容を維持する方向性を確認した

・資格の取得が指導の実践や活動機会につながる仕組みとすること、都道府県ごとに指導者を 確保していくこと、ジュニア世代以下の指導者不足への対応、学校現場との丁寧な連携などの観点から意見が出された

・指導者の育成と発掘環境の整備こそが中長期的な競技力向上の土台であるという認識を部会として共有した

骨子の方向性を確認し、指導現場へのヒアリングとHPCJCとの協議を進めたうえで、次回会合で詳細を報告することとしました。

報告事項

国内大会における競技主管としての連携

・競技主管としてのJCFの関わりについて協議を進めてきた国内大会について、主催者との間で連携して大会を運営していく方向で前向きな整理が進んだことを報告した

・大会現場での関係者へのヒアリングを通じて運営上の知見を蓄積し、国内レース全体の質の向上につなげていく取り組みを進める

来年度 全日本選手権(ロード)の開催に向けて

・来年度の開催地について複数の候補地と協議を進めており、9月上旬を目途に発表できるよう調整を続ける

・ジュニアカテゴリーの開催地・日程の在り方についても、関係団体と連携しながら検討を進める

総括

本会合では、強化指定選手の追加指定と国際大会への派遣選考をはじめ、競技大会報告書の在り方の整理、全日本選手権タイムトライアル残り種目の代替開催、そして指導者育成の新たな枠組みづくりまで、強化と大会運営、育成基盤の整備にわたる議論を行いました。
大会に関わる審判員・主催者・地元関係者のそれぞれの立場に敬意を払いながら、 課題を翌年以降の改善につなげる建設的な仕組みを整えていく方向性を確認できた会合となりました。

部会長コメント

今回の部会では、世界選手権をはじめとする国際大会に向けた強化指定選手の追加指定について、 若い世代を含む選手たちの活躍を確実に強化につなげる観点から審議を行いました。 また、全日本選手権の競技大会報告書について、率直に申し上げて、事実に基づく指摘と個人の見解の混在という課題があると評価せざるを得ませんでした。審判員の率直な指摘は歓迎すべきものだからこそ、それが確実に大会の改善につながる報告の形を整えていきます。 ロードレースは地元の皆様、主催者、選手、審判員が揃って初めて成立するものであり、関わるすべての方々の尽力が次につながる形を作っていきたいと考えています。 あわせて、指導者育成の新たな認定制度の骨子についても前向きな議論ができました。 競技の裾野拡大と世界で戦える選手の育成の両面から、引き続き取り組みを進めてまいります。

今後の予定

強化指定・世界選手権派遣:直近の大会結果を踏まえ、選手強化委員会での決定を経て8月末までに登録手続き
全日本TT残り種目の代替開催:所要の手続きを経て開催概要を正式発表(11月1日開催予定)
競技大会報告書:フォーマットの整備を進め、次年度大会からの活用を目指す
審判員・競技役員の処遇:実態確認と改善検討を継続
コーチ認定制度:指導現場へのヒアリング・HPCJCとの協議を経て、次回会合で詳細を報告
来年度 全日本選手権(ロード):9月上旬を目途に開催地の発表を目指す
第12回ロード部会:8月下旬を候補に調整


公益財団法人日本自転車競技連盟 ロード部会長 加地 邦彦