2026 UCI シクロクロス トレーニングキャンプ 参加レポート③
現地帯同をしていた岡山さんより下記UCIシクロクロスキャンプの中間レポートが届きました。
以下 ⇓
5日目と6日目の様子をレポートする。
5日目はチームリレーを2回行い、その前後に軽いロードライドを実施した。
翌日にレースを控えていたため、自転車に乗るセッションは午前中で終了し、午後は約1時間、メディアやSNSの活用方法に関する座学が行われた。
現代において必要不可欠となったネットリテラシーについて改めて学ぶ機会となり、2名の今後の活動にも役立つ内容であったと感じた。
6日目はWCCにてレースが開催された。
試走中からコーチ陣がコースの至るところでアドバイスを送り、レース前にもそれぞれ目標を設定して臨んだことで、
2名とも普段以上に入念な準備をしてレースに臨むことができていた。
夜には、今回のキャンプを通しての個別講評がコーチ陣によって行われた。
~5日目・6日目を終えて~
チームリレーは、今回のキャンプで初めてレースペースで走る機会となった。
周囲の選手のペースに圧倒され、直後は2名とも非常にネガティブになってしまっていたが、
夜のミーティングでは必要以上に落ち込むことなく、翌日のレースに向けて前向きな姿勢を取り戻しており、少し安心した。
6日目のレースでは、試走中にコーチ陣や私と話し合い、事前に乗車する箇所や降車する箇所、
加速が必要となる場面などについてプランを立てることができていた。
そのため、緊張はあったものの、比較的自信を持ってスタートラインに立てていた様子だった。
しかし、フィジカル面では他国の選手との差があり、良い位置の集団に入ることができず、レース中は常に苦しい展開となった。
2名とも事前に設定した目標を意識して走れている様子だったが、余裕のなさから焦りが生じる場面も見られ、今後に向けた課題が浮き彫りとなるレースだった。
~今回のキャンプを通して~
今回のキャンプでは、基本的にシクロクロスの技術に関するセッションが中心となり、高強度での走行はチームリレーのみで行われた。
コーナリングやディスマウント、リマウントなどの基礎的な技術については、他国の選手と大きな差を感じなかった一方、
オフキャンバーやサンドセクションでは、経験の少なさによる課題が見られた。
そのような中で、今回のように技術練習を中心としたこのキャンプは2名にとって非常に有意義なものとなったと感じる。
今後のトレーニングにおいても、フィジカル面の強化だけでなく、技術的な練習にも継続して取り組んでいってほしい。
また、座学で学んだ内容は自転車競技だけでなく、彼女たちの今後の生活にも良い影響を与えるような、非常に充実したものだった。
どうしても自転車に乗る練習に意識が向きがちだが、今回の座学で得た知識を今後の競技生活や日常生活にも活かしてほしい。
皆木 海音
強度が上がっていない場面では、身体の動きに流れがあり、リラックスして走ることができていた。
一方で、強度が高くなると一気に身体がこわばり、ミスが増えてしまう傾向が見られ、もったいないタイムロスが多くあった。
レース中は呼吸も荒く、余裕がない様子だったため、今後もう少し冷静にレースを進められるようになれば、
本来持っている動きのスムーズさを活かし、さらに有利にレースを展開できると感じた。
今回の座学で学んだレース前やレース中のプランニングは、こうした課題を改善する手助けになると考えられるため、今後のレースでも積極的に活用していってほしい。
**本人コメント**
5日目は、決められたコースで各自の走行タイムを計測し、その結果をもとに5人ずつの4チームに分かれて、チームリレーを行いました。
チーム内で走る順番や戦術について話し合い、協力しながらレースに臨みました。
結果は2回とも2位でしたが、コーチに教えていただいたことを復習しながら全力で走ることができ、良い経験になりました。
6日目は、レース当日でした。
海外でのレースは日本と異なることも多く、準備の段階から戸惑う場面がありました。
コースの特徴や周囲の環境も国内のレースとは違い、難しさを感じる一方で、新鮮さや面白さも感じました。
今回のレースで特に意識したのは、空気圧の調整と試走です。
まず、空気圧は、これまでにないくらい低く設定しました。
コースに泥が多く、路面の凹凸も激しかったことに加え、キャンプでの練習を通じて、低い空気圧でも走りやすいと感じていたからです。
実際に走ってみると、凹凸のある路面でもタイヤが跳ねにくくなり、泥の区間ではグリップも少し良くなることに気づきました。
この経験から、路面の状態に合わせて空気圧を調整することの大切さを学びました。
次に、試走では、コース全体の把握、空気圧の調整、力を温存する区間と積極的に走る区間の見極め、
苦手な箇所をできるだけスピードを落とさずに走る方法の4つを意識しました。
特に苦手な箇所では、乗車したまま進むか、降車するかを素早く判断することや、できるだけ短いラインを選んで走ることを心がけました。
また、コース脇にいらっしゃったコーチにアドバイスをいただいたり、自分から質問したりすることで、疑問に思っていたことを解消することができました。
今回の試走を通じて、ただコースを走るだけでなく、レース本番でどのように走るかを考えながら試走することの大切さを学びました。
今回のレースでは、フルラップで走り切ることを目標にしていましたが、達成できず、悔しさが残りました。
レースを通じて、フィジカル面での課題を感じるとともに、海外の選手との技術の差も実感しました。
特に印象に残ったのは、泥区間での走り方です。
自分は乗車したままでは進めず、降車して自転車を押しても滑ってしまうような場所を、海外の選手は乗車したまま走り抜けていました。
その姿を見て、泥や滑りやすい路面での経験の差が、走行技術だけでなく、恐怖心への対応の仕方にも表れていると感じました。
自分もスピードがあればクリアできたかもしれない場所がありましたが、恐怖心から思い切った走りができなかったことも課題です。
また、今回は泥に砂が混じっていて、日本で経験してきた泥よりも粘り気が強く、クリートがうまくはまらない場面がありました。
そのため、思うようにペースを上げられないこともありました。
走力の差だけでなく、現地特有の路面にうまく対応できなかったことも、単独走行につながった原因の一つだと考えています。
さらに、一人になってからペースを維持できなかったことも反省点です。
今後はフィジカルを強化するとともに、泥区間での乗車技術やさまざまな路面への対応力を磨き、一人になってもペースを落とさずに走れるようになりたいです。
一方で、この5日間のキャンプで学んだことを、レース本番でも実践できたことは良かったと思います。
特に、試走の段階からコースの特徴や走り方を考え、それをレースにつなげようと意識できたことは、自分自身の成長を感じられた点です。
今回の経験を通じて、新たに取り組もうと思ったのがレースの記録を残すことです。
天候や路面の状態、空気圧、体調などを細かく記録し、どのような条件で走りやすかったのか、逆にどのような場面で苦労したのかを振り返りたいと思います。
そして、その記録を次のレースの準備や走り方の改善に役立てていきたいです。
このキャンプでは、技術面だけでなく、レースに向けた準備や試走で考えるべきことなど、本当に多くのことを学びました。
今回の経験を今後の練習やレースに活かし、課題を一つずつ克服しながら、これからもシクロクロスを楽しんでいきたいと思います。
最後に、このような貴重な機会をいただき、キャンプを通じてサポートしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
野口 依央
レース前日から緊張しており、スタート前も表情が少し硬く、その影響もあったのか、スタート直後にコースを間違えてしまい、大きく順位を落とすこととなった。
しかし、コースに復帰してからは力みが取れ、良い力感で走ることができていた。
前方のパックに追いつくことはできなかったものの、レースを通して積極的にプッシュできていたと感じた。
一方で、レース後などにネガティブな思考に陥ってしまうことが多いため、課題をしっかりと受け止めた上で、
前向きな考え方に切り替えられるようになれば、今後のレースでもさらに力を発揮できるようになると感じる。
**本人コメント**
他の選手と比べてできないことがたくさんある状態でのスタートだったので、初めは練習についていけるかがとても不安でしたが、
コーチのみなさんが自分に合った指導をしてくださったおかげで楽しく練習に参加することができました。
できないことが多かったからこそ、その分新しいことをたくさん学べたと感じています。
また、こんなにも素晴らしいコーチの皆さんに直接指導をしていただくという経験はなかなかできないことだと思います。
今回こういった経験ができたということは本当に幸せなことで、とても有意義な時間を過ごすことができました。
これまでは失敗を恐れて挑戦をしないことが多かったのですが、このキャンプの期間中は失敗を恐れずにたくさん挑戦することができました。
技術の面だけではなく、メンタルの面でも成長できたと感じました。
講義も、これから選手として生活する中でどういったことに気をつけないといけないのかなど今の私たちに本当に必要な内容で、改めて考え直すきっかけになりました。
レースに関しては今回が海外での初めてのレースだったのでとても緊張しましたが、実際に走ってみると、
キャンプで学んだことや試走の際に考えたことをしっかりと実践できたように感じました。
ただ、レース前に自分の中で決めていたフルラップで完走するという目標は達成することができませんでした。
そこが今回一番悔しかった部分なので、次にまた挑戦できる機会があれば必ずリベンジしたいと思います。
最後に、このような機会を与えてくださり本当にありがとうございました。
今回のキャンプのレースや練習を通して今の自分は何が不足しているのかに気づくことができたので、
学んだことを活かしてこれから先少しずつできることを増やしていきたいと思います。
今回のトレーニングキャンプへの参加にあたり、多くの方々のご尽力とご支援によって、このような貴重な機会をいただくことができました。
私からもこの場をお借りして、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今年は、シクロクロス育成・強化中長期戦略でも挙げている「世界でナショナルチームがパフォーマンスを発揮する環境整備」における
「人材の確保・指導者の育成」の一環として岡山さんに帯同いただきました。
レポートにもあるように、選手たち、そして岡山さんの努力によって、有意義で実りのある事業になったと感じています。
また、選手たちの語学力と、岡山さんが海外で仕事をされる中で培ってきたコミュニケーション能力が互いに補い合い、本事業を滞りなく終えることができました。
改めて、海外での経験に基づいた行動がいかに重要であるかを実感しました。
彼女たちの苦労と成長が入り混じったコメントからも、充実した日々を過ごせたことが伝わってきます。
今回の経験を通じて得た技術や知識だけでなく、自分自身の課題に気付き、それに挑戦する姿勢を身につけられたことも、大きな収穫だったのではないでしょうか。
日本での普及・強化活動を進める上で、海外で学ぶことは有効な手段の一つだと考えています。
一方で、限られた時間の中で本事業をより充実したものにするためには、事前準備や目的の明確化、
そして帰国後に学んだことをどのように活かしていくかなど、さらに段階的に取り組むべき課題もあると気付かされました。
今回の経験を参加した2名だけのものにするのではなく、今後の日本のシクロクロスの普及・強化活動にもつなげていきたいと考えています。
今後も日本のシクロクロスシーンのさらなる発展に向けて取り組んでまいります。引き続きご期待ください。
本事業のレポートをお読みいただき、ありがとうございました。
シクロクロスナショナルチーム監督 竹之内 悠
*レポート①と②は↓こちらから
2026 UCI シクロクロス トレーニングキャンプ 参加レポート①
2026 UCI シクロクロス トレーニングキャンプ 参加レポート②