最終日となるstage5はINJEからGOSEONGまでの104.8kmで前日に続き雨の中のスタートとなる。コースプロフィールでは長く登っているようにみえるが集団で超えられるような高速の登り、その後の道のうねった長い下り区間、そして複数の小高い丘の一つに山岳賞が設定されている。通常であれば個人総合に関係のない逃げがいくか、集団でのスプリントの予想が立てられるが、今回はリーダーチームがステージレースの戦い方ではなく毎ステージがワンデイレースの戦い方のため、日本チームもこのステージ上位に入るために逃げに乗る動きのみを考える。スタート直前に岡崎一輝は体調不良でスタートできず、日本チームは3名でのレースとなった。スタートと同時に中山竜一が単独落車するが長い時間をかけて登り区間前に集団に追いつく。いくつかのアタックがあるがタイの選手が独走してレースは進む。下り区間では予想通り集団はいくつにも分断され、体調の良い柚木伸元が集団前方に位置する。その後の山岳ポイントでタイの選手は捕まり、柚木はペースの上がった集団から抜け出し3位で山岳ポイントを通過し、調子の良さを確認する。この段階で17名になった集団から次の登り区間でオランダのWILLEBRORD WIL VOORUIT(WWV)のエース2名が攻撃を仕掛けてくる。反応できたのは柚木だけで、そのまま3人でローテーションして14名の後続集団まで1分差まで広がる。ところが日本の選手を置いて2人で逃げたいWWVは柚木に交互に攻撃を仕掛けてくる。フィニッシュまで30㎞を残してここで2名から遅れると後方集団に戻らざるを得なくなる中で、柚木はことごとく攻撃をつぶす。激しい攻撃が10kmほど続いたが、WWVの2名はあきらめて3人でのローテーションに変わり事なきを得る。このアタック合戦で集団とのタイム差が縮まるどころか2分と広がり、今日の逃げ切りは確定する。連日のWWVの走りからいつ再び攻撃が始まるか緊張が続く中でフィニッシュを迎える。3名でのスプリント争いではHUISING Mennoが制して、柚木は2位となった。
来季ワールドツアーのサテライトチームで走る2名の攻撃を防ぎきった柚木はstage4から調子を上げて、この日ステージ優勝には届かなかったものの非常に印象的な走りをみせた。初日の結果でチームとしては個人総合を意識せずに走ったが、最終的には柚木が個人総合を7位まで上げて、渡辺一気も15位まで上げたので、ステージでの獲得ポイントも加えて今大会でネイションズポイントを32ポイント獲得した。
ジュニアナショナルチームとして2019年以来のネイションズカップ参加であり、1チームだけとびぬけて強いチームが参戦する中で、初日は日本のレースとの展開の違いに戸惑いをみせ動きが悪かった。ただstage2からstage5までは自ら動いて勝負していかなければレースに加われないと認識して、各選手がチームとしてまとまり連携をとりながら積極的に前に出てレースに参加する意思をみせ、ステージ優勝は遠かったものの各自の力を十分に出すことが出来た。今回は6名中3名がジュニア1年目の選手であり、この経験を来年のネイションズカップにも繋げていってもらいたい。
Stage5 結果
1 HUISING Menno (WWV) 2時間32分5秒
2柚木伸元 同タイム
3 VAN DER MEULLEN Max(WWV) 同タイム
24渡辺一気 1分45秒差
33 中山竜一 11分50秒差
DNF岡崎一輝
個人総合順位
1 VAN DER MEULLEN Max(WWV) 13時間00分23秒
2 HUISING Menno (WWV) 1分1秒差
3MAKOHON JACK (ONTO PB HINCAPIE) 13分34秒差
7柚木伸元 18分20秒差
15渡辺一気 21分52秒差
31中山竜一 31分08秒差