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2025/08/29

【大会レポート】ツール・ド・ラヴニール 第5ステージ

■ 大会レポート 第5ステージ

開催日:8月28日(木)
コース:サン=ジェルヴェ・モンブラン〜ティーニュ2100 121km
出走人数:129名/27ヶ国

いよいよ7日間にわたる大会も終盤を迎え、一行は再び大会の幕が開けたフレンチアルプスへと戻ってきた。第5ステージは、1級・超級・1級と3つの厳しい山岳を越える121kmのコースで、サン=ジェルヴェ・モンブランからティーニュ2100までを駆け上がる超難関の山岳ステージだ。スタート時の天候は雨が降ったり止んだりを繰り返し、気温は16度前後。寒さを警戒したが、レース中は大きく天候が崩れることはなかった。

レースは序盤、7名の選手が集団から抜け出す形でスタート。最初の山岳に差し掛かると、その中の3名が先行し、逃げを形成した。メイン集団はその逃げを射程圏内にとらえながらハイペースを維持し、徐々に脱落する選手が出始める。日本チームからは橋川丈と林原聖真がメイン集団に喰らいついたが、やがて遅れをとる展開となった。

2つ目の超級山岳では、およそ25kmにおよぶ登坂区間の中で逃げは完全に吸収され、山頂通過時にはメイン集団も区間優勝や個人総合成績を狙う30名ほどの精鋭に絞られた。

日本チームの4選手は、オーバーペースとならないよう、それぞれのリズムで山岳を越えていったが、超級山岳の下りでアジア王者の鎌田晃輝がクラッシュし、残念ながらリタイアとなった。レース後にメディカルチェックを受けた結果、幸い骨折などの大きなケガはなく、打撲と擦過傷にとどまったが、日本チームにとっては大きな戦力を失う形となった。

その後、ベルギーやフランスの強力なチームが集団を牽引し、先頭集団はさらに活性化。残り1km地点でアタックを仕掛けたベルギー期待のクライマー、Jarno WIDARが区間優勝を飾った。

日本チームでは、橋川丈が区間62位(+24分5秒)で最上位。個人総合成績の順位を一つでも上げることを目標にしていたが、このステージを終えて個人総合成績を20ランク上げ、総合60位に浮上した。林原聖真と岩村元嗣も、橋川から約6分遅れとなる29分51秒差の小集団でフィニッシュしている。

明日は、第6Aステージとして41.6kmの山岳ショートステージが行われ、その後には10.3kmの山岳タイムトライアルの第6Bステージが控える。

■ 清水裕輔監督コメント
今日から本格的な山岳ステージが始まった。天候の悪化が心配されていたが、スタッフの入念な対策により、選手たちは万全の体制でレースに臨むことができた。また幸いにも天候は大きく崩れることなく、選手たちは寒さを感じずにレースに集中することができた。

日本チームは、鎌田と橋川を中心に、少しでも上位を目指し、序盤は集団内で様子をうかがいながら走行した。最初の1級山岳では、総合成績や山岳賞を狙う選手たちによってペースが一気に上がり、橋川と林原はメイン集団からわずかに遅れる形で山頂を越えた。岩村と鎌田は、第3集団で無理をせず、自らのペースを維持する走りに切り替えた。

続く25kmにおよぶ超級山岳は非常に厳しい山岳だった。橋川は車列の中で遅れてくる選手を交わしながら前を追ったが、最終的に集団への復帰は果たせず、区間62位でのフィニッシュとなった。

この結果が現在の日本の実力を示しているのだと実感している。山岳において世界の「スプリンター」と呼ばれる選手たちと同じ位置で、日本のトップ選手が走っている現実がある。しかし一方で、このレベルの大会で5日目を終え、粘り強く戦えていることは、確実に評価できる成果でもある。アジア王者のカザフスタンも、早い段階で1人を残すのみという苦しい状況に置かれている。コロナ禍以降、レベルが急速に高まるこの大会において3名の日本人選手が今日まで完走しており、本来であれば鎌田も残っていたはず。それは決してネガティブな状況ではない。昨年はこの大会に出場できなかったことを考えると、今年は若い選手たちが自らの課題を認識し、世界とのレベルの差を肌で感じ取ることができたという点で、非常に意義のある大会となっている。

1年目の岩村がここまで走れていることも大きな成果であり、橋川も今日のステージで個人総合成績を20も上げることができた。彼らをはじめ自分たちは今後の課題やいま何をすべきか、明確に見いだせる段階にある。今回の経験を、選手・スタッフともに次世代へと共有し、継続的に日本の若手選手全体のレベルアップへとつなげていくことが重要である。

■ リザルト(第5ステージ区間成績)
1位 WIDAR Jarno(ベルギー)3:34:48
2位 SEIXAS Paul(フランス)+0:05
3位 NORDHAGEN Jørgen(ノルウェー)
62位 橋川丈 +24:05
84位 岩村元嗣 +29:51
91位 林原聖真 +29:51
DNF 鎌田晃輝 

■ 派遣情報 
大会名:2025 Tour de l’Avenir
カテゴリー:UCI U23ネーションズカップ
開催期間:2025年8月23日(土)~29日(金)
開催地:フランス・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方(Auvergne-Rhône-Alpes)
特別協賛:Team NIPPO(株式会社NIPPO)、弱虫ペダル

8月23日(土)プロローグ ティーニュ〜ティーニュ1800 3km(ITT)
8月24日(日)第1ステージ アオスト〜サン=ガルミエ 188.6km
8月25日(月)第2ステージ サン=シンフォリアン=シュル=コワーズ〜ヴィトリー=アン=シャロレ 136.7km
8月26日(火)第3ステージ エタン=シュル=アルー〜シャティオン=シュル=シャラロンヌ 158.6km
8月27日(水)第4ステージ モンタニャ〜ヴァル・シュラン 110.2km
8月28日(木)第5ステージ サン=ジェルヴェ・モンブラン〜ティーニュ2100 121km
8月29日(金)第6Aステージ ラ・ロジエール〜ラ・ロジエール 41.6km
        第6Bステージ モンヴァルザン〜ラ・ロジエール 10.3km(ITT)
総走行距離 770km

■ 派遣選手
鎌田 晃輝(大阪・JCL TEAM UKYO/日本大学)※U23ロードレース アジアチャンピオン
渡辺 一気(北海道・京都産業大学)
林原 聖真(鳥取・明治大学/群馬グリフィン)
橋川 丈(福島・愛三工業レーシング)※U23タイムトライアル 日本チャンピオン
岩村 元嗣(大阪・早稲田大学)
望月 蓮(山梨・Team Buffaz Gestion de Patrimoine)

■ 派遣スタッフ
清水 裕輔 監督
中根 英登 コーチ
市川 貴大 メカニック
酒井 駿  メカニック
西幹 祐太 マッサー
坂本 拓也 マッサー

 

写真:Sonoko Tanaka