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2025/08/28

【大会レポート】ツール・ド・ラヴニール 第4ステージ

■ 大会レポート 第4ステージ

開催日:8月27日(水)
コース:モンタニャ〜ヴァル・シュラン 110.2km
出走人数:137名/27ヶ国

第4ステージは、モンタニャからヴァル・シュランまでの110km、厳しい山岳ステージを控えた今大会最後の平坦基調のステージとして行われた。中盤の48.7km地点に3級山岳が設定されており、その後は起伏を含む周回コースを約3周するレイアウトとなっていた。距離は短いが、総合争いを意識する強豪チームは脚を温存する可能性があり、比較的穏やかな展開が予想されていた。

日本チームは逃げに乗ることを狙い、スタート直後から鎌田晃輝と橋川丈が集団前方で積極的に動いた。橋川を含む6名の逃げが形成され、集団に対して約20秒のリードを築いたが、すぐに追走がかかり吸収されてしまう。その後もいくつかのアタックが繰り返されたが、周回コースに入る頃には集団は再び一つにまとまり、終盤まで集団内での駆け引きが続いた。

最終的にレースは大集団でのゴールスプリントに突入し、勝利はルクセンブルクのMathieu KOCKELMANNが制した。

日本チームは、スプリントの展開であれば、連日奮闘してきた望月蓮を中心に上位進出を狙ったが、望月はスタート直後から調子が上がらず、途中で集団からドロップ。代わって橋川丈が、得意とは言えないながらもスプリントに挑戦し、区間29位でフィニッシュした。

望月は最後まで諦めずに走り続けたものの、数十秒およばずタイムアウトとなり、ここでリタイアに。これにより日本チームは、明日からのフレンチアルプスでの過酷な山岳2ステージを、4人で戦うことになる。リタイアした2選手も引き続きチームを支え、これまで築いてきたチームワークを武器に、残されたステージでもベストを尽くす。

■ 清水裕輔監督コメント
山岳ステージを控えた短いロードレース。風の影響を受けやすいコースだったが、クライマー以外の選手にとっては最後のチャンスになると予想されていた。日本チームも攻めの姿勢で臨み、スタート直後から鎌田と橋川が積極的に動いた。橋川は序盤の逃げに乗り、6名の有力な逃げ集団が形成されたが、逃げを狙う選手が多かったこともあり、集団からの追走により吸収されてしまった。ただ、内容としては非常に良い動きだった。
後半に入ってからは、山岳ポイントで望月がボトル運び、ベルギーを中心に集団分断の動きがあって中切れが起きていくなかで、後ろに取り残されそうになった鎌田を林原が引き上げるなど、チーム全体で良い連携を見せるなどして、途中で4〜50人まで絞られた先頭集団にも、日本チームから3名が残った。目に見える形で、チームとしての動きがまとまってきている。結果にはまだ結びつかないものの、このような遠征を重ねることで、近い将来に結果を出せるという手応えと一体感が生まれている。これから出てくるU23の選手たちにとっても、価値のあるレースになっている。
望月は惜しくもタイムアウトになった。あと数十秒の差だっただけに悔しさが残る。昨日、一昨日と良い走りを見せていただけに残念だが、今回はバッドデイが重なってしまった。本来なら完走できる力はある。まだ1年目で伸びしろは大きく、今後の成長に期待したい。
明日からはいよいよ本格的な山岳ステージが始まる。まるでヒルクライム大会のような厳しいコースプロフィールだが、日本チームには力のある選手が揃っている。悪天候、上り、下りとさまざまな条件が待ち受ける中でも、チームで協力し合い、一つでも上の成績を目指して戦っていく。

■ 橋川丈コメント
今日は逃げを決めたいと思っていた。明日が総合争いの山岳ステージなので、その前に逃げるチャンスがあると考えていた。5人のアタックに反応して6名の逃げができ、集団に20秒ほどのリードを取ったが、その後に後方から選手が加わり、最終的には吸収された。
その後は一度脚を休め、途中の3級山岳に向けて回復に努めた。最後のスプリントでは、自分が行こうとチャレンジした。位置取りはうまくいったが、下り基調の高速スプリントで最後はパワーが足りなかった。
チームとしての動きは、4日目を迎えてかなり良くなってきている。3級山岳では4人の選手がまとまって走れていたし、チーム全体の連携が見えてきた。
こうした大きな大会にナショナルチームとして出場できるのは本当に光栄なことだと思っている。ただ、まだこの大会や自転車競技そのものが日本ではあまり知られていない。だからこそ、自分たちが結果を残し、存在を示すことが重要だと感じている。
完走するだけでは意味がない。2年前、留目夕陽選手がこの大会で総合24位に入り、そこからワールドチームにステップアップしていった。自分も同じように上を目指したい。

■ 望月蓮コメント
今日はスタートから調子が上がらない感覚があった。序盤にチームのサポートをしたが、それ以外は何もできずに遅れてしまった。単純に力不足だと感じている。もっと強くなって、またチャレンジしたい。
今回、初めてU23カテゴリーの世界トップレベルのレースを走ることができた。今の自分に足りないもの、何をすべきかがはっきり見えたことは大きな収穫だった。
たとえば、チーム戦という観点では、メンバーとのコミュニケーションやチームとしての動きがまだ足りていない。連携して動ける脚力も不十分だと感じた。来年に向けて、それらの課題を一つひとつ解決していきたい。

■ リザルト(第4ステージ区間成績)
1位 KOCKELMANN Mathieu(ルクセンブルグ)2:25:18
2位 MACIAS Cesar(メキシコ)
3位 RAVBAR Anže(スロベニア)
29位 橋川丈
43位 岩村元嗣
95位 林原聖真 +0:12
108位 鎌田晃輝 +0:29
OTL 望月蓮 +22:07(タイムオーバー)

■ 派遣情報 
大会名:2025 Tour de l’Avenir
カテゴリー:UCI U23ネーションズカップ
開催期間:2025年8月23日(土)~29日(金)
開催地:フランス・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方(Auvergne-Rhône-Alpes)
特別協賛:Team NIPPO(株式会社NIPPO)、弱虫ペダル

8月23日(土)プロローグ ティーニュ〜ティーニュ1800 3km(ITT)
8月24日(日)第1ステージ アオスト〜サン=ガルミエ 188.6km
8月25日(月)第2ステージ サン=シンフォリアン=シュル=コワーズ〜ヴィトリー=アン=シャロレ 136.7km
8月26日(火)第3ステージ エタン=シュル=アルー〜シャティオン=シュル=シャラロンヌ 158.6km
8月27日(水)第4ステージ モンタニャ〜ヴァル・シュラン 110.2km
8月28日(木)第5ステージ サン=ジェルヴェ・モンブラン〜ティーニュ2100 121km
8月29日(金)第6Aステージ ラ・ロジエール〜ラ・ロジエール 41.6km
        第6Bステージ モンヴァルザン〜ラ・ロジエール 10.3km(ITT)
総走行距離 770km

■ 派遣選手
鎌田 晃輝(大阪・JCL TEAM UKYO/日本大学)※U23ロードレース アジアチャンピオン
渡辺 一気(北海道・京都産業大学)
林原 聖真(鳥取・明治大学/群馬グリフィン)
橋川 丈(福島・愛三工業レーシング)※U23タイムトライアル 日本チャンピオン
岩村 元嗣(大阪・早稲田大学)
望月 蓮(山梨・Team Buffaz Gestion de Patrimoine)

■ 派遣スタッフ
清水 裕輔 監督
中根 英登 コーチ
市川 貴大 メカニック
酒井 駿  メカニック
西幹 祐太 マッサー
坂本 拓也 マッサー

 

写真:Sonoko Tanaka