1.大会名 2018 Mercedes-Benz UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CUP Final La Bresse
2.開催日程 2018年8月26日
3.派遣日程 2018年8月21日~8月27日
4.開催場所 La Bresse FRANCE
会場 スタートループ3,500m+4,100m/Lap
参加者
エリート男性:山本幸平、平野星矢
U23男性:平林安里、北林力、小林勇樹
スタッフ:小林輝紀、榎本真弥
結果
エリート男性:山本幸平43位、平野星矢91位
U23男性:平林安里71位、北林力94位、小林勇樹100位
レポート
世界選手権を2週間後に据え、エリート男性並びにU23男性の日本代表チームがワールドカップ・ファイナルラウンドに参戦。ここは欧州であり、しかも2週間後に世界選手権を控えたワールドカップ最終戦。他のワールドカップやUCIレースとは異なる非常に強度の高いレースが展開された。
代表チームはレース5日前にフランスに入りし、レース会場から近いエリアにアパートを構え、生活・食事・トレーニング・レースを一貫した体制で行った。
天候は週前半の晴れた夏日から一転して週後半は雨模様となり、最高気温が10度台の寒い天候となった。レース当日は快晴に恵まれたが、前日までの降雨によって、部分的にウェットでルーズな路面となり、造り込まれたレイアウトも相まって乗車できない箇所が多発し、テクニカルなコースに拍車がかかっていた。
結果としてエリート、U23共に完走者1名、UCIポイント獲得1名という成績となったが、世界最高峰の環境で戦い得るフィジカルとメンタル両面の課題を明確にしていくことができた。課題を一つずつ解決していくことでしか世界に通用しない。今回のチーム体制はその解決策のひとつとなり、海外UCIレースをキャリアの異なる代表選手の協同活動を継続的に進めることが重要であると認識した。
<U23>
10:15、スタートループ1周+5Lapのレース。このレースで一度もトップを譲らず圧勝したFAGERHAUG Petter(NOR)選手を先頭に122名が一斉にスタート。チーム3選手はスタートへの反応は良く、ジャンプアップを展開する積極的な走りが見られたが、本コースに入ると林間に多用されたシングルトラックでの大渋滞で動きが停滞。バイクを降りて押す場面も多く、フィジカルが強くテクニシャンな欧州選手に圧迫されて順位を上げることが中々できない状況になった。レース中盤では路面が徐々に乾燥し、自分の走りに流れができ、縦に長く伸びたパックの中でプッシュを繰り返した。しかし、先頭とのラップ差は周回ごとに拡大。3名ともスタートより順位を落としながらも諦めない走りをみせ、結果として平林選手がトップから+11 :10の71位完走、北林選手、小林選手はマイナス1Lapとなった。成績としては芳しくないが、全体としてかなり速く強いレース展開の中で完走したこと、マイナス1Lapであったことは次に繋がる展開であったと言える。
<エリート>
14:50、スタートループ2周+5Lapのレース。当初予定されていたループ1周+6Lapが当日の朝になってコースコンディションに配意して変更された。大勢の観客で会場の盛り上がりが最高潮に達した中、118名の選手が一斉にスタート。落車もなく大きなパックとなってレースが始まった。先頭はこのレースを圧勝し年間チャンピオンを獲得したSCHURTER Nino(SUI)選手。山本選手は50番台、平野選手は80番台でスタートループを終え、本コースへと入った。山本選手は終始積極的な走りを魅せたが、前半は中々順位を上げることができない。平野選手はスタートが非常に良く、10名程を一気に抜いてジャンプアップしたものの、本コースに入ってからの走りに精彩を欠き、順位を下げてしまう。
中盤に入るとパンクやチェーン切も発生しはじめ、順位に変動が生まれやすい状況となった。山本選手はプッシュを繰り返し順位を40番台まで上げていく。一方、非常に速いレース展開の中で平野選手は彼本来の走りを発揮できないまま80%カットとなり、マイナス3Lapでレースを終えた。
終盤、パックが崩壊し前後にライバルがいない状況になっても山本選手のプッシュは続いた。結果としてトップから+8 :36の43位完走を果たした。
このレースでは現況のセルフコンディショニングの違いが成績として現れたものとも言える。このワールドカップが世界選手権に対して最後のレースであり、残された時間で最高の状態をつくって挑んで欲しい。
<最後に>
この遠征に際し、多くの理解と協力を頂きました。
チームとして充実した時間を得ることができました。
あらためて感謝致します。ありがとうございました。
スタッフ 小林輝紀
ジャカルタ・アジア大会第8日目(28日)男子BMXクロス決勝で長迫吉拓(モトクロスインターナショナル)が優勝し、金メダルを獲得。同じく決勝に出場した吉村樹希敢(GAN
TRIGGER)は6位。女子では畠山紗英(日本体育大学)が決勝に進んだが他選手と接触して転倒、8位だった。長迫はシーディングランを首位で通過し、モト(3回行われる第一回戦)から安定した走りで首位で決勝に進出。決勝では第一コーナー前から先行して優勝した。
BMXレース 男子結果
1 長迫吉拓 (日本)
2 SAPUTRA I Gusti Bagus (インドネシア)
3 CALUAG Daniel Patrick (フィリピン)
6 吉村樹希敢 (日本)
BMXレース 女子結果
1 ZHANG Yaru (中国)
2 KITWANITSATHIAN Chutikan (タイ)
3 LESTARI Wiji (インドネシア)
8 畠山紗英 (日本)
・長迫吉拓のコメント
2016年以来、久しぶりのアジアの大会。各国選手のレベルが上がっていることを知っていたし、じっさいに走ってみて危ない面もあったが、自分のなかで勝てることはわかっていたので、守りに入るのではなく挑戦していく気持ちで走った。体力を使うコースだったので、モトでは体力温存することも考えて走った。
予選のタイムトライアルでは、周りの状況を見ながら体力温存しながら走ったものの勝つことができた。その結果、予選1組に入り、そのまま勝ち上がれば、決勝でも好きなゲートを選べる状態だった。ゲートを最初に選ぶのは好きではないけど、勝てるレースなのだから、自分のレースをすると心がけて一位通過した。最初のジャンプでは内側が好きではなかったため、真ん中のゲートをとり、内側の選手を潰すことを考えて計算して走った。スタートは正直、隣の選手のほうが早かった。しかし、ジャンプセクションではテクニックの差で自分が前に出られることはわかっていたので、そこで前に出た。
トラックと両立したことで、全体的な体力が向上し、レースに対する考え方や準備方法も変わっていきた。トラックのコーチによる考え方の指導が生きてきている。
リオオリンピックを経験して、レベルは違うものの、同じシステムで開催される今回のアジア大会で優勝することができた。勝たないといけないところで勝てたというのは、大きなステップアップだと考えている。勝って当然、絶対に金メダルを取らないといけないというプレッシャー、また、これまでアジア大会のBMXで日本が金メダルを取ったことがないということもプレッシャーだった。東京オリンピックに向けて、またここから頑張っていきたい。次はワールドカップで決勝、表彰台の常連となりたい。練習でうまくできても、決勝ではできないことがあるので、メンタルを含めてそのような点を強化していきたい。
大会名:2018UCIトライアルワールドカップ(第2戦)
開催日:2018/08/25-26
開催地:ヴァル・ディ・ソーレ(イタリア)
ワールドカップ第2戦には男子エリート20の土屋凌我が参戦。トップ10ランカーを除く58名により、A,B,C,Dの4グループに分かれて1/4Finalが行われた。トップ10ランカーを含む25名で行われる1/2Finalへは、各グループの上位3名(計12名)+全体の成績上位4名の合計16名が進出となる。土屋はAグループで僅差の5位となり残るグループの結果を待ったが、全体では17位となり、惜しくも1/2Finalへの進出はならなかった。8/26には1/2FinalとFinalが行われ、男子エリート26には1/2Finalから塩﨑太夢が出場予定。
1/4Final結果:
男子エリート20
グループA 5位 土屋凌我 [TSUCHIYA Ryoga]
リザルト
2018UCIトライアルワールドカップ大会サイト
http://www.uci.ch/trials/ucievents/2018-trials-uci-trials-world-cup/459900818/
リザルトその他
http://www.uci.ch/trials/ucievents/2018-trials-uci-trials-world-cup/459900818/widgets/live-timing-and-results-186476/
ツール・ド・ラヴニール(UCI U23ネイションズカップ最終戦)
8月24日 第8ステージ LA BATHIE ⇒ CREST-VOLAND COHENNOZ 81.1㎞
レース結果
1 MÄDER Gino(スイス)2h11m24s
2 SOSA CUERVO Ivan Ramiro(コロンビア)+15s
3 STANNARD Robert(オーストラリア)+15s
…90山本大喜+8m13s、102大前翔+10m39s、121渡辺歩+11m59s
完走131人/出走136人
コメント
山岳ステージ2日目は81㎞と距離は短いが1級山岳を越えた後の2級山岳での登りゴールになる。そのため個人総合争いのではタイム差を狙う激しい展開が予測されたが、途中各チームが伏兵を逃がす展開でレースは高速ではあるが割と穏やかな様相で進んだ。ゴールでは1級山岳で逃げがすべて吸収された後に飛び出したスイスのMADERが後続は15秒の差で逃げ切り単独ゴールとなった。日本勢3人はトップから10分前後遅れの各小グループでのゴールとなった。第9ステージは今日大きな動きが無かった分、最も厳しいステージになることが予測される。/浅田顕
アジア大会女子個人ロードタイムトライアル
個人タイムトライアルはSUBANGの街をスタートしてすぐにロードコースでも使用した登り15kmをメインとする18.3kmで争われた。日本からは與那嶺恵理が出走し、ロードと同じく韓国のNA Ahreumとの戦いが予想された。
與那嶺はスタート後の最初の登り区間からリズムよく快調にペースを刻んでいく。早い段階で2分前のベトナムの選手を抜き、緩い下り区間もしっかり踏んでタイムを稼ぐ。勾配のある登りでもリズムを崩さず走り、フィニッシュ近くの平坦に近い登り基調の区間で少し疲れがみえたがゴールまで粘り続けた。フィニッシュではNA Ahreumからわずかに遅れで2位となり銀メダルを獲得した。18km走ってわずか0.16差と僅差の争いとなった。
女子個人ロードタイムトライアル結果
1 NA Ahreum (韓国) 31分57秒10
2 與那嶺恵理 (日本) 0秒16差
3 LEUNG WING YEE (香港) 2分25秒05差
アジア大会男子個人タイムトライアル
男子タイムトライはSUBANGの街をスタートして12kmほどの平坦を往復してから女子のコースと同じく登り基調の15kmを超えてフィニッシュとなる43kmで争われた。日本からは別府史之が最後から2番目の出走順でスタートした。
前半の平坦区間で別府は好走してタイムを稼ぐが、優勝候補の筆頭のLUTSENCO Alexey が目視で10秒ほど詰めてくる。別府は登り区間に入り前の選手を次々にパスしていくが、ラスト8kmあたりの勾配のある登り区間でLUTSENCOに抜かれる。レース情報がない中、35kmでLUTSENCO から1分差ということは良いペースで走っていることが分かる。そこからもリズムを崩さず、ラスト5kmの緩い登り区間も踏み続けてLUTSENCO から1分42秒差の3位となり銅メダルを獲得した。
この種目でアジア大会ロード競技は終了となり、日本チームは金メダルは獲得できなかったものの全4種目でメダルを獲得した。8月27日からはトラック種目が始まる。
男子個人ロードタイムトライアル結果
1 LUTSENCO Alexey (カザフスタン) 55分37秒17
2 KHALMURATOV Muradjan (ウズベキスタン) 1分33秒39差
3 別府史之 (日本) 1分42秒07差
・別府史之のコメント
「昨日に引き続きのメダル獲得を嬉しく思う。自分のリズムを大事にし、ラスト5キロはなにも考えずただ踏み続けた。自分のベストを尽くして走り、メダルを獲得できて清々しい気持ち。今回のアジア大会の結果に満足している。もちろん金メダルを獲得できなかったことは残念だが、チームとして次につながるレースができたと思う。」
JCF強化コーチ 柿木孝之

ツール・ド・ラヴニール(UCI U23ネイションズカップ最終戦)
8月23日 第7ステージ MOUTIERS ⇒ MERIBEL 35.4㎞
レース結果
1 SOSA CUERVO Ivan Ramiro(コロンビア)1h10m12s
2 MCNULTY Brandon(アメリカ) +0s
3 POGACAR Tadej(スロベニア)+0s
…118山本大喜+9m45s、125渡辺歩+11m30s、135大前翔+13m41s
完走136人/出走142人
コメント
山岳ステージ初日は1級山岳を2つ登る35.4㎞のショートステージ。スタートからコロンビア勢のペースアップで先頭グループは最初の1級山岳で40名に絞られる。登りゴールとなる2つ目の1級山岳でも破壊的なペースアップが続いた末、個人総合優勝候補のSOSA(コロンビア)が僅かな差でMCNULTY(アメリカ)を下してステージ優勝し、同タイムステージ3位のPOGACAR(スロベニア)が総合リーダーに立った。日本チームの3選手は無事規定時間内でゴールを果たし第8ステージに繋げた。たった35㎞の山岳ステージは遅れながらも全力でゴールした5名の選手を残酷にもタイムアウトとして除外した。
/浅田 顕
大会2日目は男子ロードレースが行なわれた。
コースは昨日の女子のコースから40kmの平坦区間が加わった145.5kmのコースで、女子と同じくラスト15kmからの登り区間が勝負所となる。多くの有力国が4名参加の中で、アジア大会は日本選手団の総数に限りがあり、自転車競技全体でより多くのメダルを獲得するためにロード男子の参加選手は2名となった。日本チームからは別府史之と新城幸也の予定であったが、新城が大会直前のレースでの落車の怪我により参加を見合わせ、急遽中根英登が参加することとなった。有力選手はカザフスタンのLUTSENKO AlexeyとGIDICH Yevgeniy、イランのPOURSEYEDI GOLAKHOUR Mirsamadらで、特にLUTSENKOが登りもスプリントも強力であり、最終局面では彼との勝負になることが予想された。
スタートして数キロでアタックがかかり、中国、韓国、ベトナムの3名の逃げが決まる。乗り損ねた他の数か国も追走をかけるが成功はせず、集団はカザフスタンのアシスト選手が2分弱のタイム差でコントロールをする。日本チームは他国に比べ少人数のためこの展開はありがたく、追走のアタックに気をつけながら後半に備える。85km地点を超えて先頭3名とのタイム差が1分ほどに縮まったところでイランのアタックを皮切りに集団から追走アタックがかかり、6名ほどが抜け出したが別府、中根はメンバーだけをチェックして動かず最後の勝負所までカザフのコントロールに任せる。最初のアタックの3名から唯一残って独走を続けていた韓国のJANG kyungguから2分差で集団はラスト15kmの登りに入る。最初の1km強の登り区間で20名弱まで絞られ、そこからカザフスタンはエースのLUTSENKOが先頭を牽き集団を小さくしていく。ラスト5kmあたりで別府、中根、カザフスタンのLUTSENKO、タイの2名の5名の先頭集団となる。中根が強さを見せて別府を強力にサポートする。中根のサポートを得て別府がスプリント力もあるLUTSENKOを相手に良いタイミングでスプリントをしたが、ゴール直前でかわされて2位。銀メダルを獲得した。
・別府史之のコメント
「ラスト5kmは平坦基調なのでスプリントで狙ったほうがいいと考え、登り区間で中根選手にアシストしてもらい、最後は万全の体制でスプリントに挑んだが、あと少しの差で勝つことができなかった。金メダルを狙っていたので悔しさはあるが、銀メダルという結果を残すことが良かったと思う。ここまで戦えたのはナショナルチームのおかげ。素晴らしいチームワークが良い結果に繋がった。中根選手とも同部屋でずっとレースについて話していた。どういう展開になるかわからないのがレースだが、うまくコミニュケーションが取れ、良いチームワークを発揮できたと思う。」
・中根英登のコメント
「ラスト15キロの登り区間では集団前方で危険なアタックをチェックし、ラスト5、6キロの急勾配区間で再びアタックがあったため、その動きに対応しながら、自分も登りきる前に様子見のアタックを仕掛けた。しかし、苦しそうにしながらも他の選手たちが付いてきたので、そこからは自分が集団を引ききって別府選手のスプリントで勝ちに行く作戦に切り替え、ラスト300メートルまで集団を引き、最後は別府選手にスプリントをまかせた。別府選手と一緒に走るのは初めてのこと。数的不利な状況、無線もないなかで、たくさんコミュニケーションを取れたこともあり、初めて走ったとは思えないチームワークを発揮できた。お互いが自分の持ち味を発揮できる動きができ、その結果でメダルが取れたと思う。」
結果
1 LUTSENKO Alexey(カザフスタン) 3時間25分25秒
2別府史之 (日本) 同タイム
3 LIPHONGYU Navuti(タイ) 同タイム
5中根英登 (日本) 15秒差
ツール・ド・ラヴニール(UCI U23ネイションズカップ最終戦)
8月22日 第6ステージ LE BLANC ⇒ CERILLY 181.1㎞
レース結果
1 COVI Alessandro(イタリア)4h0m29s
2 DOWNEY Mark(アイルランド)+0s
3 GUGLIELMI Simon(フランス)+0s
…17位大前翔+5s、89山本大喜+0s、134渡辺歩+9m03s
松田祥位は途中棄権
完走143人/出走144人
コメント
第6ステージは最後の平坦ステージ。スタートから逃げを決めたい平坦系選手のアタック合戦が始まりペースが上がる。幾度か逃げが出来かけては吸収される展開のなか、約70㎞付近で形成された9名が先行態勢を作る。集団はポルトガルらのコントロールにより2分前後で後半へ進んだ。先頭にはデンマーク3名らの機関車的選手が入っていたため最後は僅か5秒の差で先行グループが逃げ切った。集団では山本と大前が終始連携し、スプリントでは大前が17位でゴールし昨日に続いて好順位を残した。渡辺は昨日の落車の影響もあり調子が悪かったため補給サポートに徹し暑い中チームカーと好位置につける選手間を何往復もしチームを助けた。第6ステージまでの展開内容を課題としてきた松田は逃げに乗る最後のチャンスと意気込みアタック合戦に粘り強く参加したが中盤には力尽きて途中リタイヤとなった。明日からは山岳ステージが始まる。これより残る3名で第10ステージまで走り切りたい。/ 浅田 顕