※エントリー期間:7月14日(月)13:00~8月4日(月)23時59分
前回のEU遠征の経験から学び、選手は持参する予備パーツや遠征に必要な物の選定も適切に行ってきた印象。小さなことであるが、レースに臨む上でとても重要なことなのでしっかり準備できていたことや事前の呼び掛けがしっかりできていたのは良かった。長時間の移動そのものや、時差ぼけへの順応も少し落ち着いている印象を感じた。


レースにおいては、Stage-1は事前の下調べでフランスがかなり強いメンバー(1軍)で臨んできていることは把握していたが、実際には想定を超えて圧倒的にフランスの強さが際立つ展開であった。激しい展開の中、開幕早々にタイム差なしでゴールできた選手がおおよそ半数まで絞られた中、4人出走の日本が集団に3名を残せたことは大きな収穫であった。また同時に、井上が周回コース内のチェーントラブルにより遅れを取ってしまったことは非常に悔やまれた。防げない要因半分の防げる要因半分で起きたことだと思うので、この辺りは経験の不足であったと認識する。

Photo:Jonathan Levert
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Stage-2は大きな番狂せが発生したステージであった。フランスの圧倒的チーム力(USも日本も4人の選手しか居なかったため)を誇るため、レースはフランスがどう判断し動くかで大きく依存するのだが、序盤に決まった逃げが終盤まで逃げる展開となりここに桑原が乗った。逃げにも2名のフランスが居たが後ろの集団にもエース格の選手は居たため、途中フランスの集団牽引により、振り出しに戻ろそうとする動きがあったものの想定より逃げのスピードが速く、捕まえられないと判断したフランスは前の2人で総合争いを掛ける方向に切り替えたようであった。

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ここはフランスの想定外だったと考えられる。大きなチャンスを掴みかけた桑原であったが、流石に大局での経験が少ないこともあり、考えられる最善の動きをすることはできなかった。しかしながら、1年目にしてここに加われたこと自体が非常に高く評価できる。他のメンバーも同様に桑原が乗った逃げを守るべく集団からの他チームの抜け出しを必ずフォローすることが出来ていた。このあたりは国内での活動が実ったと感じられた。

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Stage-3のTTは日本チーム全員が25位以内に入る好走であった。総合上位に位置する桑原がタイムを落としたのは勿体なかったが、機材をもう少し考えられていればタイム差を埋めることが出来たはずなので、大きな改善点である。対し、6位に食い込んだ松村の走りは素晴らしいものであった。松村も同じく、機材で縮められる部分は多くあったので、非常に悔やまれる。TTスーツ、TTボトル、シューカバー、TTヘルメットを揃えていれば3位には食い込んだ可能性があったと推測される。

Stage-4はチームがしっかり機能を果たし、完璧な処理で集団ゴールした。最後はあと少しでトレインで先頭を取り、表彰台を狙えたが最後のコーナー手前でUSのトレインに入り込まれ、7,9,10位と上位ではあるが届かずに終わった。初めてトレインを組む試みをした状況下では素晴らしい出来であった。
Stage-5は最も難しいステージであり、それと同時に最もチャンスがあるステージであった。桑原を総合9位につける中、守備ではなく攻撃体制で臨むことはハイリスク、ハイリターンであるが成長過程にある我々チームとしてはチャレンジする以外選択肢はなかった。途中までは完璧なレース展開に持っていくことが出来たものの、結果的には桑原がレース中の強風によりコンタクトレンズを失うことによりレースが見えなくなってしまい残念な形となった。この影響により最後の局面では桑原自身もどのように動くのが最善であるかを考えられない状況下に陥り、無駄な動きで体力を消耗し最後は総合上位勢にタイム差を付けられゴールする形となってしまったのは改善点であった。一方で寺町、井上、松村の総合に対してのサポート体制はほぼ完璧に出来ており、素晴らしいものがあった。フランスは5人、US/カナダ/ケベック/XVFと各3人の動ける選手が揃っており、序盤の逃げに日本チームが乗せてしまうとメイン集団を対処できる選手が3名に(実質総合が掛かる桑原を使えないことを考えると2名)なってしまい中盤からの攻防劣ることから、序盤にうまくレースを操作して逃げメンバーを目で見てセレクションし、条件として逃げには総合に関係のないカナダ/USの選手を乗せること、KOMポイント獲得を狙うであろうフランスの15番を逃げに乗せること、またそれ以外の総合勢が乗った逃げは決めさせないことを設定した。ここでは日本が乗っていない逃げを敢えて容認させ、最もポイントを持っている15番を逃すことでKOMポイントを獲得し終わるまではフランスが容認し、KOMを取り終わる追い風〜横風区間でフランスの総合勢が圧倒的力でブリッジを図ってくる展開に仕向けて、4名を残したJAPAMチームで真っ向対応する作戦を狙った。現在のJAPANチームの実力と、数的不利を鑑みて尚且つ守りではなく攻撃をする(総合でジャンプアップをする)ことを前提に考えるとフランスの攻撃を利用して他国を置き去りにする他ない状況であった。この針に糸を通すが如く難しい作戦を途中までJAPANチームはやってのけた。

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もちろん全てが完璧ではないものの理想に近い展開に持っていき、レース後半の40kmに向けて脚を貯めつつも対処した。最後は逃げを吸収後のKOM獲得からのそのまま勇敢な逃げを決めた井上は自身のKOMジャージの可能性も残し、先手を打ってチームを有利に運んだ。ここに追走するフランス/USの攻撃に乗っていければ総合のジャンプアップ及び井上のステージ優勝(総合勢が争っている最終局面で単独で抜け出す作戦)の可能性が見えてくるが、桑原の不運な要因でそれは叶わなかった。井上は自身が作った逃げの中で最善の走りをし、逃げに2名乗せていたフランスのチーム戦にやられながらもステージ3位の最善の結果でゴールした。リザルトだけを見ると窺い知れないが、内容は素晴らしいチーム力が背景にあり、圧倒的な数的不利、そして皆が1年目の選手の状況下で最大限を実行してみせた今大会チームとして最も評価できるレース運びであった。
Stage-6は周回コースを周るレイアウトで、最も大きい獲得標高を誇るコース設定であり集団が割れてタイム差がついてしまうことが警戒されたが、自らの意思選択で攻撃をし続けると決めた桑原はこのステージでもチャンスを狙った。他の選手も同様に全員攻めのフォーメーションで臨んだ結果、桑原のアタックを皮切りに発生した8名の逃げにフランス5名が乗るという圧巻の展開が生まれた。逃げに乗れた総合上位勢は桑原しかおらずこのまま集団は1分のタイム差をつけてゴールすれば総合3位へジャンプアップが出来る。ここに入った桑原はチャンスを掴んだかに思えたが、集団にはこれを捕まえたいUS/カナダ/ケベック/XVFチームが居る。

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もちろん4チームはお互いに力を使いたくないとは考えているため巧妙なレースが続いた。残り1周を前にUS/カナダ/XVFの3チームが力を使い果たし、一気にタイム差が1分30秒以上に開き桑原に勝機が回ってきたかに思えたが、身を潜めていたケベック代表チームが残り1周に差し掛かるところから猛追を開始。同じタイミングでフランス5名から攻撃を警戒し、勇敢にも単独でアタックをした桑原だったが3名のフランス選手に対応され、最後は突き放されたが単独で4位でゴールを目指した。結局はこの2つが相まって総合は覆らないタイム差まで一気に縮められてレースは終わった。
Stage-7は6日目にして皆が疲労する中、風が強く難しい展開となった。フランスはバイクトラブルとパンクが相次いだことによりこの内数名が限界を迎え脱落、鉄壁のフランスが崩れる中で中盤に総合に関係のない選手が数名で抜け出す展開となり、またも桑原が逃げに乗る形となった。後方もしっかりとJAPANチームがフォローする形となり安定していた。

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再度桑原に総合のジャンプアップの可能性が回ってきたが途中2名で抜け出していたシチュエーションでの中間スプリントを桑原が認識しておらず、ボーナスタイムの3秒を1名のニュージーランドの選手(総合には関係のない選手)に譲ってしまった結果2秒の獲得に留まり、最終的にはこの1秒に泣き、5位に1秒届かない総合6位でレースを終える形となった。最後は監督からの指示の匙加減に改善があったと感じており、経験不足だったと反省する。最終局面はステージ優勝を狙ってタイムを得るのか、固く守って堅実なところで総合ジャンプアップを目指すのかを選手、監督共に判断出来ていなかった感覚があり、最後は多くを得ようとせずに思い切った舵切りが必要だったと感じた。

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最終的には桑原[GC6th(15pt),St-4th(3pt),], 井上[St-3th(4pt),], 松村[GC15th(6pt),St-6th(1pt),]で合計29ptの多くのネイションズポイントを獲得することが出来た。
総じて、素晴らしい結果であった。

日本はネイションズカップランキングも大きく順位を上げて、19位につける。
次に影響があるのレースはスロバキアとハンガリーで行われるネイションズカップ。何もステージレースであるが、日本は参加できない。最終的に日本のネイションズカップランキングは何位に収まるかは他の国の獲得次第になる。

















































