8月31日から韓国と北朝鮮の国境付近で開催される韓国ジュニアネイションズカップTour de DMZがスタートした。このツアーは昨年からジュニアネイションズカップに加わり、今年はアメリカ、フランス、カザフスタンなどの強豪ナショナルチームのほかアジアの多くのナショナルチーム、オランダロードチャンピオンを擁するクラブチームとアメリカの強豪クラブチーム、韓国の複数の高校チームの計24チーム139名が参加する。日本からはナショナルチームのほかにネイションズカップになる以前からこの大会に参加している神奈川選抜チームも参戦する。日本ナショナルチームは小野寺慶、日野泰静、福田圭晃、香山飛龍、馬越裕之、湯浅博貴の6選手で挑む。第1ステージと第2ステージ、そして最終の第5ステージは平坦基調のコースで、第3ステージと第4ステージは登り区間が勝負所となる。
Stage1は今年から新設されたステージでGanghwado島を1周する87kmで争われた。多少のアップダウンがあるものの平坦基調のコースで、海からの風が吹かなければ集団スプリントになることが予想された。スタートして50km/hオーバーのハイペースで進む中、20km過ぎで馬越が今大会のカザフスタンのエース選手と思われるFEDOROV Yevgeniyと2名で逃げて集団に1分差をつける。しかし優勝候補のアタックに対してアメリカ、フランスが集団をコントロールして15kmほどで吸収される。その後も単発の逃げがあるが、山岳ポイントはスプリント勝負となり小野寺が3位通過する。集団スプリントに向けて進んでいくなかで日本チームは集団前方をキープして多発する落車にも引っかからず最終局面を迎える。小野寺が集団最前列で日本チームのポジションをキープしてフランスの列車と張り合い、その後はカザフスタン列車に対抗して馬越、福田、日野の列車でスプリントを狙ったが、この日はカザフスタンの列車のほうが枚数も力もあった。福田がラスト400mほどからスプリントを開始したがカザフスタンのBRUSSENSKIY Glebが先行し、福田が2位、日野が3位に入った。このステージは勝つことはできなかったが、キャプテンの小野寺、そして馬越がレース全般を通してチームとして良い動きをみせた。
明日のstage2も平坦基調のコースであり、福田、日野のスプリント勝負でステージ優勝を狙う。
Stage1 結果
1 BRUSSENSKIY Gleb (カザフスタン) 2時間5分37秒
2 福田圭晃(日本) 同タイム
3 日野泰静(日本) 同タイム
41小野寺慶(日本) 同タイム
43馬越裕之(日本) 同タイム
81香山飛龍(日本)同タイム
84 湯浅博貴(日本)同タイム ※ラスト2kmでの落車に引っかかり遅れたものの3kmルール適用で同タイムゴール
JCF強化コーチ 柿木孝之
トラック4日目 レポート
トラック競技4日目は、男子オムニアムの1種目目スクラッチから スタート。日本からは前回2014年の仁川アジア大会で同種目を 制しているディフェンディングチャンピオンの橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が出場。1種目目のスクラッチでは5選手がラッ プに成功し、橋本は集団内3番手の8位でフィニッシュ。続いての テンポレースは2位、暫定3位タイで午前のレースを終えた。
午後からのエリミネイションでは、橋本は順調にレースを進め、最 後はSHIN Dongin(韓国)との勝負となり、スプリントを制して勝利。 3種目目を終えて獲得ポイント104で暫定首位に立ち、LEUN G Chun Wing(香港)とZAKHAROV Artyom(カザフスタン)に4ポイントのリードをもって最終 種目のポイントレースへと臨んだ。
ポイントレースでは、ライバル選手の動きを常に警戒しながら、橋 本は落ち着いて走り、一時はLEUNGに逆転される場面もあった が、ライバル選手を射程圏内におさめ、6回目、7回目のポイント 周回を首位通過するなど、積極的にレースを進め、 最終獲得ポイントを119に伸ばし、2位のLEUNGに5ポイン ト差で優勝。仁川アジア大会から男子オムニアム2連覇を達成した 。
男子スプリント1/4決勝には、昨日の予選、1/8決勝を勝ち抜 いた深谷知広(日本競輪選手会愛知支部)が出場。SAHROM Muhammad Shah Firdaus(マレーシア)との勝負を二本先取で勝ち上がり、 決勝ではリオ五輪のケイリン銅メダリストのAWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)と対戦し、二本先取される 形で敗退。しかし初めてのアジア大会で銀メダル獲得となった。
女子スプリントに出場した前田佳代乃(京都府自転車競技連盟)と 太田りゆ(日本競輪選手会埼玉支部)は、前田が予選8位、太田が 予選9位となり、1/8決勝では日本人同士の対決となった。前田 が先行する形でレースは進んだが、太田が最終コーナーでリードを 奪い勝利した。明日、太田は1/4決勝で今大会の女子ケイリンで 金メダルを獲得しているLEE Wai Sze(香港)と対戦する。
また午前中には女子3キロ個人パシュートの予選も開催され、中村 妃智(日本写真判定株式会社)が出場。中村は3分50秒604で 予選6位となり、上位4選手が勝ち進む準決勝には進めなかった。 予選ではLEE Jumi(韓国)がアジア記録を更新する3分33秒048の好タ イムを刻み、LEEはWANG Hong(中国)との決勝も制して金メダルを獲得した。
■結果
男子スプリント
2位 深谷知広
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男子オムニアム
1位 橋本英也
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女子3km個人パシュート
6位 中村妃智
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●橋本英也のコメント
「最初のスクラッチは8位と良くないスタートになったが、スクラ ッチでは強い選手がわかっているので、彼らに先行されないよう気 をつけていた。その後のテンポレース、エリミネイション、 ポイントレースと自分らしく走ることができ、最後に優勝すること ができた。最後のポイントレースでは、2位と4ポイント、思って いたより少ないポイント差でのスタートとなり、途中逆転される場 面もあったが、上位の選手をマークしながら、他の選手が疲れたと ころでポイントを重ねた。仁川大会では運が良くて勝ったが、今大 会では実力で勝つことができた。強さを証明できたと思うし、手応 えがある。次はワールドカップや世界選手権での優勝をめざしたい 。東京五輪での金メダルをめざしているが、自分が競輪、トラック 中長距離、ロードレースと活動することによって、日本の自転車界 を盛り上げることができればと良いと思う。」
●深谷知広のコメント
「決勝の1本目は手ごたえがあったけど負けてしまった。2本目は 何度かチャンスがあったものの、それを掴むことはできなかった。 アワン選手との力の差はあまり感じていない、経験の差だと思う。 今回は自分の成長を実感する大会になった。競技を始めて1年でこ こまで来れるとは思っていなかった。しかし、 金メダルが取れる位置にあったのでやはり悔しい気持ち。短距離種 目のうちどの種目が向いているか、自分の特性はまだわからないの で、今後、競技をやりながら、全ての底上げを図っていきたい。」
●ブノア・ヴェトゥ短距離ヘッドコーチのコメント
「金メダルを取れなかったことに悔しさを感じている。深谷選手は 短距離競技に向いている選手で、今後への可能性を感じるレースに なった。まだ深谷選手は競技の経験が浅いが、これまで学んだこと や戦略を実戦で応用できる。アワン選手との差は経験のみだと感じ た。女子については、これまで情けないレースが続いてしまってい る。良い環境はあると思うので、選手が意識を入れ替える必要があ ると感じている。」
●イアン・メルビン中距離ヘッドコーチのコメント
「中村選手については、思っていた結果が出なかったのが残念。そ の原因としては(2ヶ月後に開幕する)ワールドカップシーズンに 合わせた調整をしているので、その影響があったと思う。 彼女はやるべきことをやってきた。今日はコンディションが合わな かっただけ。このまま続けていくことで、ワールドカップではいい 結果が出ると期待している。橋本選手については、 とてもいいレースだった。スクラッチレースではいくつかミスがあ ったが、そのあと修正することができた。テンポレースからは、ワ ールドクラスのレースを意識して、しっかりと勝ちに行けと伝え、 エリミネイションは作戦どおり、世界で通用する走りができた。ポ イントレースは課題が少し残るものの、ポイントを取らないといけ ないときに取り、休まないといけないときに休み、追い込まないと いけないときに追い込み、結果としてメダルを獲得することができ た。全体として素晴らしい内容だった。」
トラック3日目 レポート
8月29日、トラック競技3日目は、女子オムニアムに梶原悠未(筑波大学)が出場した。梶原は同種目で2017-18シーズンのワールドカップ第3戦、第4戦を制している優勝候補の筆頭。1種目目のスクラッチではBAYMETOVA Renata(ウズベキスタン)が先行しラップに成功。フィニッシュラインにてHUANG TingYing(台湾)に先着され梶原は3位。2種目目のテンポレースでは、暫定2位のHUANGとKIM Youri(韓国)が序盤からリードしてポイントを稼いでいったが、30周回中の17周回目に梶原がアタックを仕掛けて単独で先行に立ち、残りのポイントを全て獲得。もっとも得意とするテンポレースで1位となり、午前の2種目を終えた時点で、HUANGと同点ながらも暫定首位に立った。
午後に開催された3種目目のエリミネイションでは、安定した走りで最後はHUANGとの勝負になったがスプリントで制して優勝。最終種目のポイントレースでは持ち点116点、2位のHUANGと2ポイント差でのスタートとなったが、彼女と競り合う場面では、必ず梶原が先行。最終的な獲得ポイントを138に伸ばし、HUANGに8ポイント差をつけての金メダル獲得となった。今大会のトラック競技では初めての金メダル、自転車競技としては男子BMXに次ぐ2つめの金メダル。
男子4キロ個人パシュートには、近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が出場し、予選2位(4分26秒503)で決勝に進み、アジア新記録(4分19秒672)のタイムで予選を首位通過したPARK Sanghoon(韓国)と対戦したが破れ、銀メダル獲得となった。
また男子スプリントには、脇本雄太(日本競輪選手会福井支部)と深谷知広(日本競輪選手会愛知支部)が出場し、二選手ともタイムトライアル形式の予選、トーナメント形式の1/16決勝、1/8決勝を勝ち上がった。準々決勝では、深谷はZHOU Yu(中国)と対戦し2本先取。一方の脇本はAWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)に二本先取される形となり敗退、深谷が明日30日に開催される準決勝に出場する。
■結果
男子個人パシュート
2位 近谷涼
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女子オムニアム
1位 梶原悠未
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●梶原悠未のコメント(女子オムニアム)
「アジア選手権で二連覇しているので、ここでは金メダルだけを狙ってきた。金メダルを獲得し、表彰台に立ったときはすごく嬉しかった。たくさんの方々に応援してもらったこと、サポートしてくれたチームに感謝の気持ちを伝えたい。スタッフの皆さんが全力でサポートしてくれたので、今日は自信をもって走ることができた。最初のスクラッチでは、1選手先行を許し、スプリントでも負けて3位だったが、次のテンポレースは得意なレースだったので、自分が一番強いという強い気持ちをもって走り、ここからは落ち着いて走ることができた。最後のポイントレースでも、冷静にライバルたちのポイントを計算しながら走った。」
●近谷涼のコメント(男子4キロ個人パシュート)
「仕上がりについては満足できるものではなかったが、今できることはできたと思う。今回出場した全ての種目でメダルが取れて良かった。今年のアジア選手権で優勝しており、同じ年に開催されるアジア大会だったため、金メダルを取りたかった。しかし、韓国はすごく強く、今回の相手も今まで勝ったことがない相手。いいレースをして勝てたら良かったが、力負けしてしまった。東京五輪でメダルを取ることを目標にやっており、そのためにはアジアのトップになることが必要。次は負けたくない。」
●イアン・メルビン中距離ヘッドコーチのコメント
「梶原選手については、この12ヶ月間で多くのことを学び、自分で考えられるようになった。プロのアスリートとして成長してきている。梶原選手は、目標に向かい、一つ一つのことに集中できるメンタルがとても強い選手。フィジカル面が優れている選手は多いが、優れたメンタル面も併せもつ選手は決して多くはない。今日は最後までポイント差が少なく、気の抜けないレースだったが、良いレースになった。近谷涼選手については、団体種目だけでなく、個人種目についても積極的に取り組んでいる。今回、出場のチャンスを与えられて良かった。彼もとても頑張っていたが、韓国は今大会にピークを合わせてきており、一つ上のレベルだった。」
●深谷知広のコメント(男子スプリント)
「予選で思うようなタイムは出なかったが、準々決勝で対戦した相手とは力の差はないと思っており、自信をもって走った。明日のもしっかりと走り、しっかりと勝っていきたい。」
トラック2日目 レポート
8月28日、トラック競技2日目は女子ケイリンの一回戦から始まった。女子ケイリンには、太田りゆ(日本競輪選手会埼玉支部)と前田佳代乃(京都府自転車競技連盟)が出場。一回戦(上位2選手が二回戦に進出)は太田が第2ヒートで4位、前田が第3ヒートで6位となり、ともに敗者復活戦(上位3選手が二回戦に進出)に挑むこととなった。太田は敗者復活戦第1ヒートで先行して1位通過したが、前田は第2ヒート4位で予選敗退となった。午後に開催された二回戦で太田は第1ヒート4位。7-12位決定戦へ進み、再び先行で勝利をめざしたが、ゴールライン直前でインドネシアの選手に追いつかれ、2着でゴール。最終成績は8位だった。
チームパシュートの一回戦では、昨日の予選から男女ともに1選手ずつメンバーを入れ替え、女子は橋本優弥(鹿屋体育大学)、吉川美穂(Live Garden Bicistelle)、梶原悠未(筑波大学)、鈴木奈央(日本競輪選手会静岡支部)が出走。一回戦で中国に破れたものの4分33秒370の走行タイムにより、香港との3位決定戦に進出。3位決定戦では鈴木に代わり、予選を走った中村妃智(日本写真判定株式会社)が出走。香港に追いつく大差で勝利し、銅メダルを獲得した。
男子チームパシュートは、今村駿介(中央大学)、一丸尚伍、近谷涼、橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)のメンバーでUAEとの一回戦に臨み、途中UAEを追い抜き、4分04秒222の走行タイムで勝利。この成績は一回戦における全体のベストタイム。そしてカザフスタンとの3位決定戦では、日本がカザフスタンに追いつき勝利した。予選でのタイムロスが悔やまれるが、二日目に挽回して銅メダル獲得となった。
チームパシュートは4人一組でチームを組み、4キロの走行タイムを競う競技で、先頭交代しながら走り、3番手の選手のフィニッシュで計測される。基本は対戦形式だが、今大会では予選1位と4位、2位と3位が対戦し、勝者が決勝戦へ進み、残りのチームのうち一回戦の走行タイム上位2チームが3位決定戦へと進んだ。日本の予選での成績は、女子3位、男子5位だった。
■結果
男子チームパシュート
3位 日本(今村駿介、一丸尚伍、近谷涼、橋本英也 ※予選のみ沢田桂太郎)
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女子チームパシュート
3位 日本(橋本優弥、吉川美穂、梶原悠未、中村妃智 ※1回戦のみ鈴木奈央)
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女子ケイリン
8位 太田りゆ
13位 前田佳代乃
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●橋本英也のコメント(男子チームパシュート)
「最低限の結果を出すことができた。今日は有酸素運動に強い自分がメンバーに入り、確実に銅メダルを狙える作戦で走った。調子はいいのでディフェンディングチャンピオンとして出走するオムニアムでは優勝を狙いたい。優勝する自信はある。」
●梶原悠未のコメント(女子チームパシュート)
「金メダルを狙っていたため、銅メダルになってしまったことに悔しさは残っている。予選では隊列が乱れ、反省点が残る走りだった。一回戦で対戦した中国とは、予選のタイムを見ても戦える自信はあった。中国に勝って決勝に進みたかったが、後半にペースが落ちてしまい2秒ほど及ばず、3位決定戦に回ることになった。3位決定戦では、メダルを確実に獲得することを目標に走った。今回は全員の脚が揃っていない状態だったが、それでもチームとしてメダルを取れるということを証明できたことはよかったと思う。明日のオムニアムでは絶対に金メダルを取りたい。」
●イアン・メルビン中距離ヘッドコーチのコメント
「今日は昨日よりもいいレースになった。これまで予定通りでない部分、悪い部分もあったが、それに挑戦していかないと前には進めないので、今回は反省点も含め収穫が多かった。女子については今日できることは最大限できたと思う。予定していたパフォーマンスではないけど、メダルを取れたことは良かった。全ては東京五輪のためにやっているため、その過程だと考えている。一回戦で鈴木選手を入れた理由は、戦略的な部分で同じポジションながらタイプの違う選手を採用した。3位決定戦では、前のチームに追いつくことを想定し、徐々に追いつくタイプである中村選手に戻した。昨日の男子の問題点に対しては、橋本選手と沢田選手を交代する決断をした。橋本選手はやるべきことをやってくれたし、チームとしてしっかり機能した。いつも5人で来ているので、5人目のメンバーがいつでも準備できていることにも嬉しさを感じている。調子が万全ではない沢田選手に代えて、橋本選手を入れることは今日できるベストな選択だった。」
●太田りゆのコメント(女子ケイリン)
「日頃からわかっていることだが、勇気や度胸が足りなかった。そのような部分を強化していきたい。決勝に乗れなかったこと、そして7-12位決定戦でも勝つことができず残念に思っている。このあとスプリントにも出場するが、スプリントではまずは自己ベストを更新することを目標にして走り、一つ一つ勝ち進んでいきたい。」
トラック1日目 レポート
8月27日、ジャカルタ市内に新設されたジャカルタ・インターナショナル・ベロドローム(木製・250メートル)でアジア競技大会の自転車トラック競技が開幕した。31日まで5日間の日程で、男女それぞれ7種目が開催される。
初日は午後からチームスプリント予選・決勝とチームパシュート予選が行われた。男子チームスプリントは、雨谷一樹(一般社団法人日本競輪選手会栃木支部)、新田祐大(一般社団法人日本競輪選手会福島支部)、深谷知広(一般社団法人日本競輪選手会愛知支部)が出走。予選ではスタートでミスがあり再スタートとなった。それが影響して序盤はタイムが伸びなかったものの、2走目の新田、3走目の深谷が自己ベストを更新する素晴らしい走りをみせ、44秒489のタイムで予選を4位通過。韓国との3−4位決定戦へと進んだ。3−4位決定戦では、すべてが噛み合い、日本チームの実力を発揮。予選でマレーシアが出した大会レコードの43秒934を上回る、43秒899をマークし、大会レコードを更新するとともに、韓国を下して銅メダルを獲得した。男子チームスプリントは、2014年の仁川・アジア大会から二大会連続の銅メダル獲得。
前田佳代乃(京都府自転車競技連盟)と太田りゆ(一般社団法人日本競輪選手会埼玉支部)が出走した女子チームスプリントは、予選を男子と同じく4位通過。韓国との対戦となった3ー4位決定戦では予選よりもタイムを削り、33秒911秒でゴールしたものの0.435秒差で韓国に破れ、最終成績は4位となった。
女子チームパシュート予選は、梶原悠未(筑波大学)、中村妃智(日本写真判定株式会社)、吉川美穂(Live Garden Bicistelle)、橋本優弥(鹿屋体育大学)が出走。4分33秒768のタイムで5カ国中3位となり、28日に開催される第一回戦では、予選2位の中国と対戦する。
近谷涼、一丸尚伍(TEAM BRIDGESTONECycling)、今村駿介(中央大学)、沢田桂太郎(日本大学)で挑んだ男子チームパシュート予選は、中盤に一丸と沢田が相次いで遅れ、隊列が乱れてるアクシデントがあり失速。10カ国中5位となる4分12秒173でゴールし、第一回戦では、予選8位のUAEと対戦となるが、1−2位決定戦に進めるのは、予選上位4カ国のうちの2カ国となるため、日本は第一回戦以降、銅メダルをかけての戦いとなる。
●雨谷一樹のコメント
「予選ではミスをしてしまったが、3−4位決定戦ではいつもの走りができたので良かったと思う。」
●新田祐大のコメント
「予選で自分と深谷が自己ベストを出すことができた。ミスがあったものの3−4位決定戦に出ることができたので、タイムを出すことを目標に走り、全体で一番良いタイムを出すことができた。直前の落車で治療や調整をしながら大会を迎えたが、万全の状態にしてもらい、それが高いモチベーションにもつながった。昨日から身体は良い状態になり、今日も走るのが楽しみで、思った以上の成績が出た。とても良い大会になった。」
●深谷知広のコメント
「予選は残念だった。チームワークのバランスが崩れてしまったことが原因。しかし、決定戦ではしっかりと力を出すことができた。予選と決定戦でタイムが落ちてしまっているので、2本目にタイムを上げていくことを今後の課題にしたい。」
●ブノワ・ベトゥコーチ(短距離)のコメント
「女子チームスプリントの4位という結果には驚いてはいない。実力どおりであって、奇跡が起こることはないから。世界で戦うには、まだ体力などが足りていないと考えている。男子チームスプリントに関しては、メダルを獲得できたものの、このメダルの色は正直嫌いだ。予選でのスタートの失敗が響いてしまったことが原因であり、自分たちが負けたということだ。ここには優勝するために来ている。優勝する能力があるだけに残念だ。ポジティブな面を言うなら、新田と深谷が今回自己ベストタイムを出した。これが将来への自信につながっていくと思うので、次のレースを期待したい。」
●イアン・メルヴィンコーチ(中距離)のコメント
「男子は、ワールドカップはオリンピックの出場枠にも関わるため、今大会の2ヶ月後に開幕するワールドカップに照準を合わせる決断をした。そのなかで今大会が途中にあるため、両方で結果を出せるプログラム(筋力アップのためのジムプログラム等)を取り入れたが、結果として今日は噛み合わなかった。何人かはうまくいっているが、何人かは予想と違う反応が出ている。結果としては残念ではあるが、良いデータを取ることができたので、今回の経験を今後に活かして、早く結果を出せるように頑張っていきたい。明日、金メダルを取れないのは残念だが、銅メダルをめざして挑戦していきたい。できるかぎりの調整して、現時点でのベストの状態で走りたい。」
ツール・ド・ラヴニール(UCI U23ネイションズカップ最終戦)
8月26日 第10ステージ BESSANS ⇒ ST-COLOMBAN DES VILLEARDS113.5㎞
レース結果
第10ステージ成績
1 MÄDER Gino(スイス)02h54m19s
2 DUNBAR Edward(アイルランド)+0s
3 CHAMPOUSSIN Clement(フランス)+0s
…90大前翔+15m43s、112山本大喜+18m54s、 117渡辺歩+20m20s
124人完走/124人出走
最終個人総合成績
1 POGACAR Tadej(スロベニア)26h28m53s
2 ARENSMAN Thymen(オランダ)+1m28s
3 MÄDER Gino(スイス)+1m35s
…99山本大喜+1h00m20s、107大前翔+ 1h08m04s、122渡辺歩+1h29s05s
最終完走者124人/初日出走者156人
コメント
最終ステージは予定していた標高2700mリズラン峠が積雪と凍 結のためレースコースが短縮されてスタート。 レースは激しいアタック合戦を続けながら超級山岳、 登りゴールとなる1級山岳辺と向かった。 個人総合争いも決着はついておらず、 ゴールまで上位選手同士の戦いの末、 ステージ優勝は2勝目のスイスのマデール、 個人総合はスロベニアのポゴチャーがチェコのネイションズカップ に続き連勝し事実上のU23頂点に立った。 日本勢は序盤のアタック合戦を試みるも、 登りが始まってからは完走目的のグループでゴールを無ざし規定時 間内ゴールとなった。 10日間のレースを終え石上の骨折によるリタイヤを始め多くのト ラブルがあったが、 それらを考慮してもトップと今回の日本チームとの差を痛感した。 U23の世界レベルは上位選手層を中心に確実にプロレベル化が続 いてきている中、 U23ナショナルチームの活動の在り方が問われる。/浅田 顕
大会名:2018UCIトライアルワールドカップ(第2戦)
開催日:2018/08/25-26
開催地:ヴァル・ディ・ソーレ(イタリア)
男子エリート26の塩﨑太夢は、トップ10ランカーとして1/ 2Finalから出場。1ラップ目は21位と出遅れたものの、 2ラップ目に追い上げをみせ、15位で1/ 2Finalを終えた。
今年のトライアルワールドカップは全4戦で行われ、9月22- 23日に第3戦アントワープ大会(ベルギー)、10月13- 14日に最終戦ベルリン大会(ドイツ)と予定されている。
塩﨑太夢は昨年からヨーロッパを活動拠点としてワールドカップに 参戦を続けているが、 今大会から男子エリート20の土屋凌我も合流。 ともに1999年生まれの2人の更なるチャレンジに期待したい。
大会結果:
男子エリート26(参加44名)
1 VALLEE Nicolas (FRA)
2 HERMANCE Vincent (FRA)
3 COUSTELLIER Gilles (FRA)
15 SHIOZAKI Tomu (JPN)
男子エリート20(参加65名)
1 MONTALVO Alejandro (ESP)
2 PECHHACKER Thomas (AUT)
3 AREITIO Ion (ESP)
26 TSUCHIYA Ryoga (JPN)
女子エリート(参加15名)
1 REICHENBACH Nina (GER)
2 CAMINOS Irene (ESP)
3 HIDALGO Alba (ESP)
2018UCIトライアルワールドカップ大会サイト
http://www.uci.ch/trials/ucievents/2018-trials-uci-trials-world-cup/459900818/
決勝の模様はUCIのYouTubeチャンネルおよびUCI TrialsのFacebookページでライブ配信されたが、音声ゲストとして塩﨑太夢が解説に入っているので、そちらも注目していただきたい。
UCIライブ配信映像
VIDEO
(女子エリート決勝1/2)
VIDEO
(女子エリート決勝2/2+男子エリート26決勝)
VIDEO
(男子エリート20決勝+表彰式)
1.大会名 2018 Mercedes-Benz UCI MOUNTAIN BIKE WORLD CUP Final La Bresse
2.開催日程 2018年8月26日
3.派遣日程 2018年8月21日~8月27日
4.開催場所 La Bresse FRANCE
会場 スタートループ3,500m+4,100m/Lap
参加者
エリート男性:山本幸平、平野星矢
U23男性:平林安里、北林力、小林勇樹
スタッフ:小林輝紀、榎本真弥
結果
エリート男性:山本幸平43位、平野星矢91位
U23男性:平林安里71位、北林力94位、小林勇樹100位
レポート
世界選手権を2週間後に据え、エリート男性並びにU23男性の日本代表チームがワールドカップ・ファイナルラウンドに参戦。ここは欧州であり、しかも2週間後に世界選手権を控えたワールドカップ最終戦。他のワールドカップやUCIレースとは異なる非常に強度の高いレースが展開された。
代表チームはレース5日前にフランスに入りし、レース会場から近いエリアにアパートを構え、生活・食事・トレーニング・レースを一貫した体制で行った。
天候は週前半の晴れた夏日から一転して週後半は雨模様となり、最高気温が10度台の寒い天候となった。レース当日は快晴に恵まれたが、前日までの降雨によって、部分的にウェットでルーズな路面となり、造り込まれたレイアウトも相まって乗車できない箇所が多発し、テクニカルなコースに拍車がかかっていた。
結果としてエリート、U23共に完走者1名、UCIポイント獲得1名という成績となったが、世界最高峰の環境で戦い得るフィジカルとメンタル両面の課題を明確にしていくことができた。課題を一つずつ解決していくことでしか世界に通用しない。今回のチーム体制はその解決策のひとつとなり、海外UCIレースをキャリアの異なる代表選手の協同活動を継続的に進めることが重要であると認識した。
<U23>
10:15、スタートループ1周+5Lapのレース。このレースで一度もトップを譲らず圧勝したFAGERHAUG Petter(NOR)選手を先頭に122名が一斉にスタート。チーム3選手はスタートへの反応は良く、ジャンプアップを展開する積極的な走りが見られたが、本コースに入ると林間に多用されたシングルトラックでの大渋滞で動きが停滞。バイクを降りて押す場面も多く、フィジカルが強くテクニシャンな欧州選手に圧迫されて順位を上げることが中々できない状況になった。レース中盤では路面が徐々に乾燥し、自分の走りに流れができ、縦に長く伸びたパックの中でプッシュを繰り返した。しかし、先頭とのラップ差は周回ごとに拡大。3名ともスタートより順位を落としながらも諦めない走りをみせ、結果として平林選手がトップから+11 :10の71位完走、北林選手、小林選手はマイナス1Lapとなった。成績としては芳しくないが、全体としてかなり速く強いレース展開の中で完走したこと、マイナス1Lapであったことは次に繋がる展開であったと言える。
<エリート>
14:50、スタートループ2周+5Lapのレース。当初予定されていたループ1周+6Lapが当日の朝になってコースコンディションに配意して変更された。大勢の観客で会場の盛り上がりが最高潮に達した中、118名の選手が一斉にスタート。落車もなく大きなパックとなってレースが始まった。先頭はこのレースを圧勝し年間チャンピオンを獲得したSCHURTER Nino(SUI)選手。山本選手は50番台、平野選手は80番台でスタートループを終え、本コースへと入った。山本選手は終始積極的な走りを魅せたが、前半は中々順位を上げることができない。平野選手はスタートが非常に良く、10名程を一気に抜いてジャンプアップしたものの、本コースに入ってからの走りに精彩を欠き、順位を下げてしまう。
中盤に入るとパンクやチェーン切も発生しはじめ、順位に変動が生まれやすい状況となった。山本選手はプッシュを繰り返し順位を40番台まで上げていく。一方、非常に速いレース展開の中で平野選手は彼本来の走りを発揮できないまま80%カットとなり、マイナス3Lapでレースを終えた。
終盤、パックが崩壊し前後にライバルがいない状況になっても山本選手のプッシュは続いた。結果としてトップから+8 :36の43位完走を果たした。
このレースでは現況のセルフコンディショニングの違いが成績として現れたものとも言える。このワールドカップが世界選手権に対して最後のレースであり、残された時間で最高の状態をつくって挑んで欲しい。
<最後に>
この遠征に際し、多くの理解と協力を頂きました。
チームとして充実した時間を得ることができました。
あらためて感謝致します。ありがとうございました。
スタッフ 小林輝紀
ジャカルタ・アジア大会第8日目(28日)男子BMXクロス決勝 で長迫吉拓(モトクロスインターナショナル)が優勝し、 金メダルを獲得。同じく決勝に出場した吉村樹希敢(GAN
TRIGGER)は6位。女子では畠山紗英(日本体育大学)が決 勝に進んだが他選手と接触して転倒、8位だった。長迫はシーディ ングランを首位で通過し、モト(3回行われる第一回戦) から安定した走りで首位で決勝に進出。決勝では第一コーナー前か ら先行して優勝した。
BMXレース 男子結果
1 長迫吉拓 (日本)
2 SAPUTRA I Gusti Bagus (インドネシア)
3 CALUAG Daniel Patrick (フィリピン)
6 吉村樹希敢 (日本)
BMXレース 女子結果
1 ZHANG Yaru (中国)
2 KITWANITSATHIAN Chutikan (タイ)
3 LESTARI Wiji (インドネシア)
8 畠山紗英 (日本)
・長迫吉拓のコメント
2016年以来、久しぶりのアジアの大会。各国選手のレベルが上 がっていることを知っていたし、じっさいに走ってみて危ない面も あったが、自分のなかで勝てることはわかっていたので、守りに入 るのではなく挑戦していく気持ちで走った。体力を使うコースだっ たので、モトでは体力温存することも考えて走った。
予選のタイムトライアルでは、周りの状況を見ながら体力温存しな がら走ったものの勝つことができた。その結果、予選1組に入り、 そのまま勝ち上がれば、決勝でも好きなゲートを選べる状態だった 。ゲートを最初に選ぶのは好きではないけど、勝てるレースなのだ から、自分のレースをすると心がけて一位通過した。最初のジャン プでは内側が好きではなかったため、真ん中のゲートをとり、内側 の選手を潰すことを考えて計算して走った。スタートは正直、隣の 選手のほうが早かった。しかし、ジャンプセクションではテクニッ クの差で自分が前に出られることはわかっていたので、 そこで前に出た。
トラックと両立したことで、全体的な体力が向上し、レースに対す る考え方や準備方法も変わっていきた。トラックのコーチによる考 え方の指導が生きてきている。
リオオリンピックを経験して、レベルは違うものの、同じシステム で開催される今回のアジア大会で優勝することができた。 勝たないといけないところで勝てたというのは、大きなステップア ップだと考えている。勝って当然、絶対に金メダルを取らないとい けないというプレッシャー、また、これまでアジア大会のBMXで 日本が金メダルを取ったことがないということもプレッシャーだっ た。東京オリンピックに向けて、またここから頑張っていきたい。 次はワールドカップで決勝、表彰台の常連となりたい。 練習でうまくできても、決勝ではできないことがあるので、メンタ ルを含めてそのような点を強化していきたい。